出版社内容情報
浄土教の普及と秘密修法の展開に伴い、仏像の形は多様化の様相を見せ始めた。
技法には、施工上の理由や信仰上の要請によって、様々なバリエーションが現れ、
様式には生身という信仰を軸として、また武士の台頭を背景として現実的な感覚が
めばえ始める。京都を中心に、そしてその影響をうけた地方の実体もあわせ仏像の
変遷を詳述する。
【主要目次】
■はじめに
■京都における造寺・造仏の変遷
・康尚の出現―西暦990年頃の飛躍
・定朝様式の完成と後継者たち
■奈良仏師(慶派)の動向と奈良地方
・康助から運慶へ
・奈良地方の仏像
■各地の代表的な造仏
・図版目録
■附論
近年報告された平安時代の造像銘記
感想・レビュー
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rbyawa
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h036、同レーベルの「平安時代前期」とは別の人が書いておられるんですが、失われた仏像の中にも一級品があったに違いなく、念頭に置いておく、という宣言にちょっとした感動が…ああうん、物の歴史ってそうだよなぁ。この時代は定朝様式以降の展開があるのですが、多分ここから専門仏師の時代って認識でいいのかな(言及があるわけではないのでわかりにくいものの、記録はある、その辺にも職業的なものは確かに感じるかも)。「前期」を読んでいないとわかりにくかったんですが、寄木作りだと細かいものが作れるのもこの時代以降ってことかな。2017/03/13