出版社内容情報
遠藤周作の文学や思想は、今、輝きを増している。
「早く来すぎた作家」として、批判や反感を受けがちだった世界観・宗教観も、現在では、
世界の宗教者たちが目指している方向と合致していることが分かってきた。
新しい立論による、新しい作家・遠藤周作の全体像の構築を目指す。
【主要目次】
■はじめに
■インタビュー・遠藤順子夫人に聞く
「半世紀の記憶-小説はどのように書かれたか」(聞き手:柘植光彦/小嶋洋輔)
■エッセイ 遠藤さんと私 (加賀乙彦)
■第一章 出会いと記憶
・記憶の分析 (辛 承姫)
・吉満義彦体験-その影響と超克 (山根道公)
・堀辰雄体験-遠藤周作の受動と能動と (鈴村和成)
・遠藤周作とその文学圏―『三田文学』と〈第三の新人〉を中心に(中村三代司)
■第二章 テレーズを求めて-モーリアック体験・文学体験
・テレーズの造型-誘惑と母性 (福田耕介)
・モイラとセアラ-遠藤周作と二人のグリーン (阿部曜子)
・同伴者なきベルタン・サド (宮本陽子)
・遠藤周作の留学-ルーアン、リヨン、ボルドー (樋口 淳)
・テレーズの心の闇は救われるか-遠藤に期待された高橋たか子 (須浪敏子)
■第三章 神と神々 宗教との戦い
・芥川龍之介「神神の微笑」―〈この国〉に潜む暴力的な力 (高橋博史)
・新約聖書学の衝撃 (神谷光信)
・イエス像の変革 (天羽美代子)
・ユングへの共鳴 (高橋 原)
・ヒック神学との合致-神は多くの名前をもつ (小嶋洋輔)
・インドとの共生-《インド》なる表象の刷新のために『深い河』を再読する (近藤光博)
■第四章 小説の世界
・キャラクターの円環-森田ミツをめぐって (苗木美佳)
・遠藤周作『海と毒薬』論-上田ノブと〈おばはん〉をめぐって (加藤憲子)
・『沈黙』論-〈身体〉と〈認識〉のはざまで、そして〈行為〉 (宮坂 覺)
・狐狸庵の挑戦-もうひとつの滑稽化した自分 (加藤宗哉)
・『侍』―宣教師ベラスコをめぐって (笠井秋生)
・『死海のほとり』―沸騰する文体 (川島秀一)
・『スキャンダル』論-「無意識」概念の運用と「悪」の理論展開をめぐって (山下静香)
・深い河(ディープ・リバー)―死と生の逆転 (柘植光彦)
■第五章
・没後主要参考文献リスト (山下静香)
内容説明
日本という風土が生んだ巨大な作家・思想家、遠藤周作像の「現在」に迫る。
目次
第1章 出会いと記憶(記憶の分析;吉満義彦体験―その影響と超克 ほか)
第2章 テレーズを求めて―モーリアック体験・文学体験(テレーズの造型―誘惑と母性;モイラとセアラ―遠藤周作と二人のグリーン ほか)
第3章 神と神々 宗教との戦い(芥川龍之介「神神の微笑」―“この国”に潜む暴力的な力;新約聖書学の衝撃 ほか)
第4章 小説の世界(キャラクターの円環―森田ミツをめぐって;遠藤周作『海と毒薬』論―上田ノブと“おばはん”をめぐって ほか)
第5章 没後主要参考文献リスト
著者等紹介
柘植光彦[ツゲテルヒコ]
1963年東京大学文学部卒業。1971年東京大学大学院博士課程満期退学。専修大学文学部教授。現代日本文学専攻。現代文学会代表世話人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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