内容説明
一九世紀半ば、西欧列強が全世界で気象観測を始めた時代。幕末の日本でも緩やかにはじまった近代的な気象観測は、しかし三次の戦争を転機として飛躍的な向上をみせる。天気予報の精度は、観測網の広さと比例する。より精確な理論構築のために観測網の拡張を求める気象学と、戦争遂行と植民地拡大のために正確な気象情報を求める帝国主義は、手を取り合って進んでいった。そして気象学は、ナショナリズムの機運高まる日本で、ある種のガラパゴス的発展を遂げる。当時の気象学者たちが目指した「日本気象学」とはいかなるものだったのか。また、それを支えた植民地での気象観測はどのようにして行われたのか。近代日本気象学の始まりと発展、そして終焉と再出発を体系的に論じる初の学術書。
目次
序章 気象学と帝国、植民地
第1部 日本気象事業の胎動(「植民地」日本の気象観測;明治初期における国内気象事業の編成と拡充;「植民地」日本の気象・気候研究)
第2部 帝国気象観測網の構築―日清・日露戦争と植民地気象事業(日清・日露戦争と植民地気象観測網;植民地気象事業と東アジア気象観測網の構築;植民地気象調査と植民地の知の動員)
第3部 「日本気象学」の形成と周縁性の克服(梅雨研究;台風研究;日本気候論)
第4部 戦争と気象、帝国後の気象(満洲国気象観測網と軍事的再編のはじまり;帝国気象観測網の戦時再編;戦時体制下における気象研究;帝国解体後の東アジア各地の気象観測網再編)
終章 帝国の科学としての気象学
著者等紹介
宮川卓也[ミヤガワタクヤ]
1982年生。ソウル大学校自然科学大学院科学史科学哲学協同課程博士課程修了、Ph.D.(理学)。日本学術振興会特別研究員PD、非常勤講師(東京理科大学、東京大学、神奈川大学)等を経て、広島修道大学人間環境学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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