内容説明
現在の京都市中心部の所謂「田の字地区」が上京区・中京区・下京区の三つの行政区に分かれるのは昭和四年からで、その歴史は一〇〇年にも満たない。かつては上京・下京の二つに分かれていた地域概念は、中世末から近代へとつながるが、近世においても様々な展開を経ることになった。本書では、「町」・「町組」・「惣町」という重層的な内部構造を持っていた近世京都における「惣町」(=上京・下京)に着目して、京都住民と奉行所との間の行政上の関係だけではなく、近世を通じて行われた徳川将軍家との間の儀礼関係も含めて分析することで、近世京都の都市秩序の系譜を明らかにする試みである。
目次
第一章 京都における“惣町”(上京・下京)の位置―「御朱印」に注目して―
第二章 近世前期における都市秩序―徳川将軍家に対する拝謁・献上儀礼の参加者選定にみる―
第三章 近世前・中期、都市行政の展開―年寄と町代の関係をめぐって―
第四章 近世京都の都市歴史叙述―「京都旧記録」類の成立と伝播―
第五章 近世京都における徳川由緒の語られ方
第六章 近世中後期における都市秩序の転換―「惣町運動」と徳川将軍家に対する拝謁・献上儀礼―
第七章 近世後期、都市行政の変容―地域住民組織の動向を中心に―
第八章 近世京都の都市秩序における“惣町”の意義―飢饉への対応からみる―
著者等紹介
牧知宏[マキトモヒロ]
1977年愛知県岡崎市に生まれる。2007年3月京都大学大学院文学研究科指導認定退学、2010年1月博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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