内容説明
260余年にわたって泰平の世が続いたとされる江戸時代において、藩祖以来直系で家を継承できた大名家の事例は皆無に等しい。大名の子の短命化により安定した継承が極めて難しくなるなか、婚姻の実現と世嗣の確保は表向と奥向双方にとって重要課題となった。本書は、これまで大名・藩研究が明らかにしてきた表向の政治構造と、ジェンダー史研究が明らかにしてきた奥向の実態とを統合し、17世紀から19世紀までの史料を元に、大名家における婚姻と家族構成員の実態を明らかにする。
目次
序章 本書の課題と構成
第1部 近世大名家の婚姻(近世前期における国持大名家の縁組;近世中後期における大名家の婚姻;近世後期における大名の娘の年齢操作と婚姻)
第2部 近世大名家における妻妾制の展開と奥向(近世前期における大名居城奥向の構成員とその処遇;近世中期における大名の妻妾;近世大名の幼少相続と「看抱」・後家;近世中期の大名家における妻妾制の展開―「御袋様」に注目して;補論 大名の相続・人生儀礼と家族構成員―秋田佐竹義真を事例に)
終章 総括と展望
著者等紹介
清水翔太郎[シミズショウタロウ]
1989年、栃木県那須烏山市生まれ。東北大学大学院文学研究科博士課程後期修了。博士(文学)。東北大学学術資源研究公開センター史料館学術研究員を経て、2021年より秋田大学教育文化学部地域文化学科講師。専門は日本近世史、武家社会論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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