内容説明
「京舞妓」、「おもてなしの文化」、「雅な貴族文化」など、バラ色の表象がひしめく京都文化。だがこれらの京都イメージは、近現代を通じて、政治的・社会的に、近世以来の「伝統」を基にしながらも再構築し創り出された側面が強い。本書では、近代京都をめぐるさまざまな文化を研究対象に取り上げ、その歴史的淵源を探るとともに、既存の観光言説や「京都文化」論の相対化を試みる。
目次
1 ロマン主義と花街(“祇園町”の空間変容;マキノ映画にみる京都の花街・舞妓表象―万国博覧会から『祇園小唄 絵日傘 第一話 舞ひの袖』(一九三〇年)へ ほか)
2 日本主義と京都文化(近代京都の農民美術と民芸―副業を奨励した二つの運動;猪飼嘯谷と明治神宮絵画館壁画 ほか)
3 京都文化の相対化(歴史を演じる―祝祭とページェントの近代京都;東本願寺と京都画壇―明治度両堂再建における障壁画制作の道程 ほか)
4 地域社会と京都文化(「教育的都会」京都の誕生―爛熟する官立学校誘致の経験;京都・尊攘堂における「活きた勤王」―近代京都文化を作り、支えた人びと ほか)
著者等紹介
高木博志[タカギヒロシ]
京都大学人文科学研究所教授。日本近現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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