内容説明
神社の境内などで見かける「遙拝所」と刻まれた石碑は、今日の我々の生活において、ほとんどその意味を失っている。しかしながら、その石碑が建立された背景を探るなかで、この遙拝所碑は一九四五年までの日本人の生活と精神を大きく規制した「遙拝」の歴史を今も我々に伝えるものであることが明らかになっていく。本書は、遙拝所および遙拝儀礼の歴史をたどるなかで、近代における民衆の生活文化と天皇制がどのような関係性を持つに至ったのかを具体的に明らかにすることを試みる。
目次
近代の遙拝と遙拝所
開港地の遙拝所
明治前期の東京府内の遙拝所
遙拝所と公園
開成山遙拝所
神宮教会と遙拝所
遙拝所の制度史
明治天皇の大喪と遙拝儀礼
遙拝をめぐる事件史
滋賀県東南部における近代遙拝所
奈良県下における近代遙拝所
昭和四年伊勢神宮遷宮とカトリック系学校における遙拝問題
宮城遙拝
遙拝をめぐる権力関係
著者等紹介
市川秀之[イチカワヒデユキ]
1961年大阪府生。同志社大学文学部卒業。関西大学大学院文学研究科博士前期課程修了、博士(文学)。1988年大阪狭山市教育委員会入庁、文化財保護を担当。2006年滋賀県立大学助教授を経て、滋賀県立大学人間文化学部地域文化学科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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