内容説明
人間にとって、病との闘いは永遠のテーマである。それゆえ、病への対処法には、その時代の人々の信仰や思想、世界観が如実に表れる。前近代では、病気の原因は神やモノノケ等、霊的なものに求められ、その治療は宗教者の呪術に任されていた。僧侶や陰陽師らの行った呪術による病気治療の実態とその全体像を、古代から近世まで多角的に論じることで、それぞれの時代に生きた人々の精神世界に迫る。
目次
第1部 東アジアの視点からの問い直し(中国古代の祭礼形成―呪術から祭祀へ・祭祀から儀礼へ;東アジアの視点から見る日本陰陽道の病気対策―「土公病」を例に;清末以降の発病占の変容とその社会史的意義―三十日病占から六十日病占へ)
第2部 古代・中世の様相(『日本霊異記』所載の目盲説話をめぐって―その“政治的”側面について;神祇官卜部と病;平安時代におけるモノノケの表象と治病 ほか)
第3部 近世における展開(病気治療と神話・祈祷―「土公鎮祭」から「大土公神祭文」へ;江戸時代医学史からみた病気治療と運気論;忍術書に見る病気治療 ほか)
著者等紹介
小山聡子[コヤマサトコ]
1976年生。筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科史学専攻修了、博士(学術)。二松学舎大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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