出版社内容情報
「ヴァナキュラー (vernacular) 文化」とは、ある集団の人々の生活に深く関連した文化と、特定の時期や時代や状況や土地で発生した文化、および、そうした文化の底流となっている伝統を指す。それは、〈権威をもたない文化〉であるとも言える。
その研究は、文化人類学・民俗学、文学、歴史学など――細分化すれば表象研究、地域研究、音楽文化研究、メディア研究、カルチュラル・スタディーズなど――の専門諸領域にわたる。ヴァナキュラー文化研究を牽引する日米の執筆者の論考も含んだ本書は、文化についての意識を高め文化研究をより身近にするための、指標となる一冊である。
はじめに ウェルズ恵子
■? 生成・創造
1 アメリカの文化における暴力と遊びのフレーム化 サイモン・J.ブロナー | 石田文子 訳
2 民衆による死の記念化 ジャック・サンティーノ | 佐藤 渉 訳
3 日系アメリカ人強制収容とアンセル・アダムズの写真記録 荒このみ
4 医療現場のユーモアにみる苦しみと笑い リサ・ギャバート | 中川典子 訳
5 アメリカ黒人民話にみる〈語り〉の深層――ハーストンの『騾馬と人間』考 ウェルズ恵子
■? 伝承・変容
6 ヴァナキュラー文化として「赤ずきん」を読む ウェルズ恵子
7 人種暴力の記憶化と写真――「沈黙の行進」から「黒人の命も大切」運動へ 坂下史子
8 遊牧民女性の技と記憶――西北アナトリア、ヤージュ・ベティルの人びととの交流から 江川ひかり
9 アバディーンシャーの歌い手たち――スコティッシュ・バラッドの文脈、構造、意味 トーマス・マケイン | 山? 遼 訳
10 ヴァナキュラーな消費文化の展開――メディアイベントとしてのオリンピックをめぐって 関口英里
■? 拡散・再生
11 〈ヴァナキュラー〉の実践――アメリカのアーツ・アンド・クラフツ運動 小長谷英代
12 明治期日本におけるアメリカ音楽の受容 ソンドラ・ウィーランド・ハウ | 佐藤 渉 訳
13 スティーブン・フォスターとアメリカ ディーン・L.ルート | 湊 圭史 訳
14 スティーブン・フォスターの生涯と日本への遺産 宮下和子
15 歌と言葉を取り戻すとき――失語からの復帰 ウェルズ恵子
レクチャー・コンサート「歌と言葉を取り戻すとき」 マイケル・スプーナー、ミドリ・トーキン、アレン・クリステンセン、カズコ・トーキン | 山? 遼 訳
謝 辞
執筆者紹介
索 引
ウェルズ 恵子[ウェルズ ケイコ]
編集
目次
1 生成・創造(アメリカの文化における暴力と遊びのフレーム化;民衆による死の記念化;日系アメリカ人強制収容とアンセル・アダムズの写真記録 ほか)
2 伝承・変容(ヴァナキュラー文化として「赤ずきん」を読む;人種暴力の記憶化と写真―「沈黙の行進」から「黒人の命も大切」運動へ;遊牧民女性の技と記憶―西北アナトリア、ヤージュ・ベティルの人びととの交流から ほか)
3 拡散・再生(“ヴァナキュラー”の実践―アメリカのアーツ・アンド・クラフツ運動;明治期日本におけるアメリカ音楽の受容;ステーブン・フォスターとアメリカ ほか)
著者等紹介
ウェルズ恵子[ウェルズケイコ]
立命館大学文学部教授。アメリカ文学・文化、比較文化研究、音楽文化研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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