内容説明
通説的には、近世という時代は、国家も社会も思想も、宗教世界中世を克服した世俗世界であるとされる。本書は、そのような認識は近代の眼から見たものであるとして、真っ向から異を唱え、幕藩体制そのものが神聖性を帯びていたことを明らかにする。とくに、救済信仰という様相をもつ真宗という存在に着目し、徳川家康による将軍権力の成り立ちから綱吉期までを中心に、近世国家の宗教性を論証し、さらには仏教的世界としての近世を論じた論考を収める。
目次
第1部 将軍権力と仏教(近世国家の宗教性;徳川将軍権力と宗教―王権神話の創出;綱吉政権における王権と仏教―増上寺法問をめぐって;『松平崇宗開運録』の諸問題;幕藩権力と真宗)
第2部 仏教土着論(戦国思想史論;仏教的世界としての近世;近世国家の宗教編成とキリシタン排撃;東アジア近世世界の思想史的成立)
著者等紹介
大桑斉[オオクワヒトシ]
1937年、石川県生まれ。金沢大学法文学部卒業。大谷大学大学院文学研究科博士課程満期退学。博士(文学)。大谷大学教授を経て、大谷大学名誉教授。専攻、日本近世宗教思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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