内容説明
近世の政治史を考えるうえでの重要な問題の一つは、秀吉から家康に至るまでの間、彼らによる天皇の位置づけが変化していく中、今度はその天下人自身までもが神格化を遂げていたことであった。豊臣秀吉や徳川家康の神格化が、なぜ近世前期の政治過程において要請され、それらはどのように実現したのかを解明し、そこでの天皇・朝廷の行動と意味を再検討するとともに、その後の徳川将軍家が天下人の神格や天皇・朝廷といかに向き合ったのかを、綱吉期までを視野に入れ叙述する。
目次
第1部 豊臣秀吉・徳川家康の神格化と天皇(慶長期初頭の政治情勢と豊国大明神;東照大権現号の創出と徳川秀忠;徳川家光の国家構想と日光東照宮)
第2部 身分集団としての禁中・公家中と江戸幕府(近世の堂上公家と身分制;領主としての公家と家綱政権)
第3部 徳川将軍家の国家構想の継承と限界(天和・貞享期の綱吉政権と皇位;元禄・宝永期の徳川綱吉と「かけまくもかしこき日のもとの国」)
著者等紹介
野村玄[ノムラゲン]
1976年大阪府に生まれる。2004年大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。現在、防衛大学校人文社会科学群人間文化学科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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