内容説明
「民芸」の発見は、二〇世紀の日本が生んだ新しい美の創造であった。さらに今、民芸の思想はわれわれに、人間に対する深い洞察を示している。これは柳宗悦の軌跡と、彼がはじめた民芸運動に対して、新たな読み直しを試みて編まれた論集である。
目次
第1章 柳宗悦像の再検討(初期論文に見る後年の柳宗悦;手紙のなかの柳宗悦;柳宗悦と鈴木大拙―近代をめぐる位相;二人の柳宗悦―テキストの背後をめぐって)
第2章 内と外の視点(柳宗悦―民衆の芸術回復に捧げた人生;東は西、西は東―反近代主義と民芸の発見;民芸的なものの誕生―アーナンダ・K・クーマラスワーミーとの比較を契機として;民芸運動とバーナード・リーチ)
第3章 民芸と工芸(民具と民芸・再考―展示への視座が分けたもの;「工芸」の課題―柳宗悦の視点から;柳宗悦と朝鮮陶磁―茶道の継承と批判という視点から;用と美―柳田国男の民俗学と柳宗悦の民芸を巡って)
第4章 地域からの視点(地域からの実践という批判軸―三宅忠一試論;柳宗悦と倉敷―大原孫三郎との出会いを中心に)
著者等紹介
熊倉功夫[クマクライサオ]
1943年東京都生。東京教育大学文学部卒。林原美術館館長・国立民族学博物館名誉教授・文学博士
吉田憲司[ヨシダケンジ]
1955年京都府生。京都大学文学部卒、大阪大学大学院文学研究科博士課程修了。学術博士。国立民族学博物館教授/総合研究大学院大学教授
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