出版社内容情報
雑誌『歴史学研究』No752に書評が掲載されました。
内容紹介
江戸湾西岸の品川・六浦の問題の再検討と、これまで比較的研究の手薄で
あった江戸湾東岸の問題を取り上げ江戸湾を総体的に捉え、房総を含む江戸
湾一帯を東西両国の出入り口として位置づけ、そこでの人と物の流れを時の
権力者である関東足利氏・上杉氏・後北条氏・里見氏などとの絡みから再検
討しようとした習作十一篇。
二階堂文書・鶴岡八幡宮文書・妙国寺文書などをはじめ多数の関係史料に
より、権力闘争を生み出す江戸湾における社会的な富とは一体何であったの
かを考察し、当該地域において実際に活動していた氏族の存在とその歴史的
性格(専門職能)を明らかにしようとする。
(序にかえてより)
目次
第1章 二階堂氏と安房国北郡―「二階堂文書」を通じて
第2章 下総簗田氏の上総・安房進出の歴史的意義―関東足利氏との関係を中心に
第3章 上総椎津の中世的展開―「向地」品川との関連で
第4章 安房木曽氏をめぐって―白浜との関係を中心に
第5章 下総葛西地域の奥津・菊地・会田諸氏の動向―上杉氏との関係を中心に
第6章 伊豆菊地氏の族的発展―上杉氏との関係を中心に
第7章 蒔田氏の族的性格について―相模鎌倉・藤沢と西上総を中心に
第8章 下総渡辺氏の歴史的性格―古河公方との関係を中心に
第9章 武州六浦における大喜氏と山口氏の位置―安房・上総との関係を中心に
第10章 武州品川における鳥海氏の動向―古河・品川・鎌倉間交流をめぐって
第11章 武州品川をめぐる房総諸勢力の動向―品川「妙国寺文書」の禁制をめぐって