内容説明
縄文時代中期・八ヶ岳そこはニッポンの銀座だった。私たちがまだまだ知らない信州の不思議が詰まっています。
目次
序章 信州の山河と、縄文時代への旅(そもそも縄文時代っていつ?;縄文時代の不思議をちょっと聞いてみました)
第1章 繁栄の秘密(八ヶ岳の懐;何が彼らを支えたのか 八ヶ岳の食卓 ほか)
第2章 縄文世界の中心(溢れ出す土器;井戸尻文化を象徴。個性を主張する藤内遺跡の土器群 ほか)
第3章 去り行く縄文人(そもそも誰がいたのか?;井戸尻文化の陰り ほか)
終章 縄文の旅のすすめ(もうひとつの繁栄 信州の縄文世界に魅せられた人々;あなたと縄文遺跡 ほか)
著者等紹介
藤森英二[フジモリエイジ]
1972年埼玉県生まれ。1996年明治大学二部文学部考古学専攻卒。同年から長野県南佐久郡の北相木村考古博物館の学芸員を務める。栃原岩陰遺跡を中心とした洞窟遺跡の研究や、縄文中期文化をテーマとした研究会を企画運営している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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れみ
92
信州の八ヶ岳山麓周辺を中心とした縄文時代の遺跡の様子や出土品について紹介しながら、なぜこの地で井戸尻文化が発展しその後それが終わっていったのか…ということについてまとめられた本。文章が分かりやすく写真など目で見て楽しめる資料もたくさんあってワクワクした。個人的にはやっぱり縄文のビーナス&仮面の女神。考古学に深く関わっている人ほど縄文のビーナスの出土に対する驚きは大きかっただろうというのがそこまでにされた説明によってよく分かるし、ひとつひとつの出土品にそれぞれの物語があると思うとなんだかぐっときてしまう。2018/01/31
seacalf
36
一口に縄文時代といっても12000年以上に及ぶ長い時代、それをわかりやすい見出しに大きなサイズの写真をババンと掲載し、理解しやすい工夫がされている。特に土器や土偶の見せ方が見事。ここまで美しいとは。日本の土壌は強い酸性で骨など簡単に分解されて失われてしまうことや、土器の分布範囲と今の方言分布がよく似ていることなど情報も満載。まだ未知なることも多く、だからこそ掻き立てられるんだろうな。筆者は何気に大学も学部も同じ先輩でびっくり。自分も考古学専攻にすればよかったかもと思わせてくれる内容だった。先輩、あざす。2018/03/12
白玉あずき
32
急に「縄文時代」に目覚めたかも?といっても前期から後期まで1万年以上もの長い期間なんだとびっくり。住居跡、土器、土偶などの、日本の酸性土壌でも残る遺物から想像するしかない悲しさ。アイヌの方たちのように入れ墨してたんだろうなとか、資本の蓄積が無い分貧富の格差は少なかっただろうとか、色々想像はするが社会生活の中での思想やら風俗が分からないのが寂しい。里山の幸でどれくらいの人口を養うことができたのか。南米アマゾンの先住民のように果樹、豆類の栽培はしていたようなので、これだって農業だよね。縄文土器のデザインが好き2018/02/22
ナディ
31
信州の縄文時代。あまり注目していなかったが、素敵な縄文ビーナス(土偶)にドキドキした。古代の豊かな文化に触れると、芸術と生への祈りはひとつと感じる。2017/04/10
niwanoagata
23
確かにすごい。縄文はあまり企画展も少なく(近くの博物館で)接点が少ないので長野と言うと、飯田の古墳群だけを注目していたが、非常に面白かった。もちろん信州の縄文文化は有名だが、釣手土器とか立石、柄鏡形住居などなど知らない情報が多く非常に勉強になった。写真が多用されていて、詳しくない人でも非常に読みやすいので、信州に限らず縄文時代の解説書としても読みやすい。初心者にオススメ。2020/06/06