内容説明
戦国一の愚将と呼ばれた男が挑む最大の試練。いかに氏真は乱世を生き抜いたか。静岡県在住の歴史小説家夫妻が描く“父の死に様、子の生き様”。
著者等紹介
秋山香乃[アキヤマカノ]
2000年に秋山香乃とは別筆名にて『裏切者』で歴史時代小説家としてデビュー。2002年『歳三往きてまた』で秋山香乃名義でデビュー。2019年より伝奇作家デビュー。Ayako Suzuki筆名で海外(米・英)デビュー。『天狗照る』で歴史時代作家クラブ作品賞ノミネート。『龍が哭く』で野村胡堂文学賞受賞。歴史時代作家の会「操觚の会」創立メンバー。YouTube配信「そうこRADIO」動画編集担当(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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榊原 香織
56
義元のとセットになってるらしい? 平和に生き抜く、そういうのも強さなんだな。 夫婦愛が現代的すぎて、戦国にこれはあるのか、という感じも。 見知った賎機山の古城跡(当時は跡ではなく現役の城)に氏真がしょっちゅう上るので嬉しい2023/09/15
hrmt
34
図書館本。秋山作品6作目。偉大な父を持った氏真は、今川家を潰したボンボンだとずっと思っていた。けれど本書での氏真はとても好人物だ。生まれた時代が戦国でなかったら…と思わずにいられない。とても才能があって人としても善い人なのに、時代故にそれが仇となり裏切られ、領地を追われ、惣領故に臣の行く末を案じ世を捨てる事も出来ず。裏切りの家臣に殺されもせず、北条にも徳川にも厚く遇してくれる友がいる。それはひとえに人徳なのだろう。タイトルの寂は、堕ちぶれた寂ではなく、静謐をあらわす“寂”だった。(→続)2019/11/26
サケ太
26
偉大なる父、今川義元の子として生まれた氏真は己が分不相応と感じながら大名としての責務を果たそうと奮闘して行く。幼い頃の家康や弥八郎との交流、師である雪斎の教え。父の死から苦難だらけの国家運営を行う事に。脆くも強い。そんな氏真が魅力的な作品。2019/11/14
マツユキ
10
『アンソロジー しずおか戦国の城』で気になった今川氏真の物語。 偉大な父、義元の後を継いだ凡庸な息子、氏真。…と言っても、頭が良くて、武術に優れ、心優しい立派な人なんですが、何が起こるか分からない戦国の世。今川家が、どんどん追い込まれて行きますが、氏真を救ったのは、自分自身の人柄、かつて結んだ縁だったような気がします。妻との仲の良さや、近習、朝比奈康勝との絆、特に今川家に人質としていた家康との関係の変化など、読んでいて、楽しかったです。家康も、かっこいい。信玄の印象は、ますます悪くなった。2021/03/25
にゃほまん
6
氏真というと化粧して蹴鞠ばっかりして今川のお家を潰した愚将というイメージがありますが、彼が秋山さんの手にかかると、イメージが一変します。秋山さんが満を持して描かれた作品です。 氏真の苦悩や葛藤がよくわかり人間味あふれる作品になっています。読みやすいですし読み応えあり!!