内容説明
いまここにいるのは、はたして本当の自分なのだろうか。もう一人の自分がどこか別の世界にいるのではないか―。長き沈黙から甦った詩人が、自らの魂の在処を求めてさまざまな時空を漂う。
目次
とびかっている魂
黒い生き物
熊
長居
魂
青空
部屋
どこかの街の夕ぐれ時
野の花
ダークエネルギー〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
151
もう一つへの世界にいるもう一人の私へ至る路が、空漠たる世界に開かれる。《夜明けの青闇が/なぜこんなに/哀切なのか/郷愁を覚えるのか//私は/ここを通って/母の中に/はいった》《ありったけの郷愁をこめて/自分が落ちたあたりの青空を見る//青空で/自分が落ちた抜け穴は/消えているが//ありったけの郷愁をこめて/青空を見る/自分が落ちたあたりの/青空を見る》《こぼれた水でぬれた本を/ふこうとしてテイシユに手をやったら/水でぬれた本がない》…あるものがないという、幻のような日常の「めくれ」に触れた瞬間、今がある。2021/02/23
sk
3
めっちゃ良かった。2021/01/03