出版社内容情報
かわるがわるの記憶が
あおざめ
時割れてゆく
(「不在都市」)
「永方祐樹はこの『不在都市』で交響した、交響している、交響させる」(古川日出男)、「不在都市」とは、そんな快活な場としての東京の(再)開発だ」(菅啓次郎)。
土地の記憶を呼び起こす重層化する視線。マルチリンガル詩を含む、現在への果敢な試み。
装画=青野春秋、装幀=中島浩
永方佑樹[ナガエユウキ]
著・文・その他
目次
中野3丁目
埠頭の夢
白金姫
都市白書2017
だろうか―E231系車内
記号論―春とコバルト
渋谷ディニスクランブル
オレたちの国
東京都千代田区永田町一丁目七番一号
塔と浅草木馬〔ほか〕
著者等紹介
永方佑樹[ナガエユウキ]
2012年、「詩と思想」新人賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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スミス市松
27
現在の東京と明治・大正期を通り抜けて江戸に至るまでの古層が二重写しで描かれる。それは「埠頭の夢」から始まり、詩行の左右に打たれたルビで複数の時間が並列する「渋谷ディニスクランブル」、青白い巨塔へのまなざしが時代を遡行する「塔と浅草木馬」、そして巻末「不在都市」にて読者は現代の都市を無数の絶えた夢として体感する。過去から現在へ向かう「歴史」が〈垂直的に絶えていくもの〉だとすれば、一方で人を忘れ繋がりを失っていくこと、つまり都市の過剰さがもたらす私たちの「孤独」が〈水平的に絶えていくもの〉と理解されるだろう。2018/11/14
gu
3
好きな詩集。土地を書くことがイコールで時間を書くことになる。複数の時間の重なりを表現する言葉。『渋谷ディニスクランブル』のルビ、『塔と浅草木馬』のシームレスな変転。2021/08/29
gu
3
地図と地史。現在の、地表に溢れる声(騒音)と地層に埋もれた声を同時に呼び出そうとする試み?『塔と浅草木馬』のような、土地と時間を彷徨う文章を探していた。2019/09/22
kana0202
0
なかなかイイ2021/01/13
ゆん
0
タイトル、表紙に惹かれて購入。びっくりした。他の「詩集」と呼ばれているものとは一線を画す世界観。とにかく、いろんな形式の詩が楽しめる。全体的にアート作品のようでありながら、日本的な深みも感じるのは、江戸と東京?の地図のせいか。あるいは詩の言葉の美しさ(雅さ?)にもよるのか?最後の「不在都市」で全てが言語の中に溶けてゆく。圧巻。