出版社内容情報
百年か二百年たってもう一度
何回目のまばたきをここにあるからだは生まれてからいままでに呼吸を積み重なる記憶を
はじめましてさようなら/私たちは分け合った時間を持って帰る (「タイム」)
ネットニュース、公園の落書、企業の公開情報……。
至るところに刻印され放置された無数の言葉が、詩人というろ過装置を経て不滅の文字となる。『ジャイアントフィールド』から7年、進化系の第2詩集。
言葉は現実に接近し、そして現実を跳躍する。
装幀=小田原のどか
山田亮太[ヤマダリョウタ]
著・文・その他
内容説明
名づけられない労苦を経て送られた膨大な支援物資の記録。押し寄せる波のただなかに立ちつくす自動販売機のシルエット。“オバマ”という現象をめぐりインターネット上を駆け巡るニュース。事実と記述から取材され、選択された無数の言葉は詩という独自の生命体で不滅の文字となってよみがえる。
目次
1 災害対策本部(登山;現代詩ウィキペディアパレード;日本文化0/10;みんなの宮下公園;災害対策本部;私の町;自動販売機;タイム)
2 オバマ・グーグル
3 戦意昂揚詩(無人(uninhabited)戦意昂揚詩
小人委員会とその会議室
みどりの家
弟1)
著者等紹介
山田亮太[ヤマダリョウタ]
1982年北海道生。TOLTAメンバー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
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sk
8
山田の詩にはとても乾いた知性を感じる。ところが、岩の間から清水が流れ出るように、そんな乾いたところから潤った抒情が垣間見れるのだ。方法的な詩よりも叙情的な詩の方が私の好みだった。2016/06/30
しゅん
7
特にユリイカ(雑誌)の表紙の言葉をつなぎ合わせた詩にそれを感じたのだけど、読んでいると自分の愚かさや浅はかさを俯瞰で観られているような、恥ずかしい気持ちを覚える。同時に、固有名詞の連なりの意外性に笑えてくる。小田原のどかによる装丁のつるつるした不気味さは、全てを見透かしたうえでなにも働きかけてこない人間が傍にいるときの不気味さだ。彼はただ、社会の道具から、あるいは個人の記憶から、言葉を選んで並べてる。その言葉の視野の中に明らかに自分の魂は含まれているのだけど、ずっと放置されている。そんな感じがする詩集。2020/09/23
チェアー
6
詩なのかアートなのか、はたまた?うーん。まったくとりこめませんでした。2016/11/06
午後
2
2009年の現代詩に関連するWikipedia記事の引用で構成される「現代詩ウィキペディアパレード」、2000年から2010年の「ユリイカ」の目次を利用した「日本文化0/10」、2009年8月に宮下公園が公園の命名権を年間1700万円で10年間譲渡する協定をナイキと締結したことを巡っての公園内の落書きを集めた「みんなの宮下公園」、そして2009年1月時点でGoogleで「オバマ」を検索した結果上位100件のWebページを折り合わせた30ページ以上の大作「オバマ・グーグル」等。引用と再構成から成る詩が良い。2022/09/15
綿 虫
2
詩だなあ!!詩の可能性、希望がここにあった!! 「ここに書いておく」という記録と表現のさかいめ。まなざして提示することの尊さ。移ろって消えていくインターネット上の言葉の現象、道端や日比谷公園に現れては消されていく文字たち。記録ではない、ならば表現か?いいえ(?)これは詩です!!!!という感じ。めちゃくちゃ好き。 『タイム』などでの副詞と動詞のリズムが癖になるので声に出して読みたくなります。読んで。 2017/01/29