出版社内容情報
うたいながらゆく
「きみが笑った/ひとりでに泣いてた/答えはここだ」
(「The maximum output」)。
「贈与の見返りを求めることのない、そのものへのただひたすらな愛。詩人は、たとえば、そのようなケイローンの無償の愛に全身全霊を込めて応えようとしているのである」(吉田文憲)。
光をおくる26編。
装画=北川健次
来住野恵子[キシノケイコ]
著・文・その他
目次
The maximum output
Benedictus
無番号フール
るんるん
残留物
あれの発
フォルティシモ
あわになってきえていくのよ
アリア、降り止まぬ火の翼の
唯々〔ほか〕
著者等紹介
来住野恵子[キシノケイコ]
1959年東京生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たまぞう
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「いつか/まあたらしい朝が来て/誰も知らない星の種が爆ぜる/生まれたものは帰る 喜々としてみな還る/きんいろのひかりに/ちいさな顔がほほえむ//奇跡でも幻でもなく/世界をふたたびあたためる薪よ//死にくべられた荒野に萌えわたる息吹よ//はるかな指の頂から燦然とよみがえる冬の言葉(ほのお)よ」(「冬の言葉」)など、いのちの生成と再生を詠う静謐な求道者のようだと思った。無辺の宇宙から微塵な原子まで、闇の告発も希望の光もひとくるめに孕んだ詩たちが、どれもとても音感ゆたかにひろがってきて、ふしぎと元気をもらえた。2022/05/29