出版社内容情報
「問いを抱えながら/カーテンを開けると/枝のあいだに/星がひとつまたたいて目が合った」(「返信」)。
すぐに言葉にならない思いと時間をくぐりぬけて辿り着いたこの場所―
前詩集から5年ぶりの新詩集。
エッセイ集『風もかなひぬ』同時刊行。
装画=伊藤武夫、装幀=稲川方人
伊藤悠子[イトウユウコ]
著・文・その他
内容説明
すぐに言葉にならない思いと時間をくぐりぬけて辿り着いたこの場所。比類なき静謐の抒情。
目次
焼かれていく
ボーク・エリカがそうしたように
湖岸
また会おう
衣類を身につけた一枚の木材は
影
不法投棄
埴生の宿
空の味
滔々と坂道〔ほか〕
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mm
25
34回現代詩花椿賞受賞。作者が作詩をはじめたのは60歳を前にしてのようだ。この方は、歳を重ねて物事を優しく見つめる眼差しを得られたのですね。多分元々よく見つめる人だったんだろうけど。時にちょっとお茶目。詩を読んだというより、エッセイを読んだような感じ。「また会おう」という作品では、東日本大震災の少し後に亡くなった義母の葬儀で、兄弟が集まり語らい、また別れ、また仏事で集まりといった行事で、義母のほとりに避難して過ごした時なのだと気がつく場面にジーンと。目がいいとね「星がひとつまたたいて目が合った」りする。2018/02/07
sk
6
この具体性がよいと思った。具体性の生み出す柔らかな思考、情緒。具体性は詩におけるクッションなのかもしれない。2016/04/27