出版社内容情報
今
湧いてくる歩行
わたしの中でなにか変化するのが感じられるまで
(「路上」)
遠い地から届く、かすかな、たしかな声。前詩集から3年、「現代詩手帖」連載をへて、その姿をあかるませる、珠玉の18篇。
川田 絢音[カワタアヤネ]
著・文・その他
内容説明
わたしたちの背丈は似て…たしかな声、珠玉の18篇。
目次
燕
黒い若葉
雁の世
窓
ベンチで
孔だらけ
螺旋
緑の玉
犬が
野原
白い皿
夜の広場
列車で
長い橋
ロムの紙 詩の紙
窪み
秋
路上
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みねたか@
22
18の詩。短いセンテンス、作品自体も短く、極限まで削ぎ落とされている。 過去、夢、幻・・・乾いたモノクロの情景に、いきなり強烈な色彩を伴って飛び込んでくる何か。過去最高齢での萩原朔太郎賞受賞。その硬質で血が吹き出すような作品世界は凄みを増している。2018/03/11
ミスター
1
わたしは彼女の作品はこれしか読んだことがないが、雁とロマをうまく掛け合わせた優れた作品だと思った。ロマが生活している路上の中での不条理や暴力を「剥きだしの眼」=「雲」になって写実して行く。その写実されたモノが路上に敷き詰められた磨り減る「アンモナイトの螺旋」描写と相まって、時間的な奥行きを構成して行く。2019/01/13
よし
1
川田絢音さんの詩集。第23回萩原朔太郎賞受賞作。図書館で手に取りました。18篇の詩の中で「螺旋」が気に入りました。なんとなく欧州を感じさせる詩が多かったので調べてみたら、川田さんはイタリアにお住まいなんですね。2016/07/22
odmy
0
これらは何歳の時に書いた詩なのだろう? まるで思春期のような嫌悪感や痛みが感じられる。「口先の挨拶も耐えられなくなった 人の姿で心を育てるにはもう遅いと こわばっているとき 宿木の緑の玉が宙に掛かり 母の顔を映している」この人は社会に対してまったく興味がなくて、この世界に自分が存在している違和感だけを手がかりに生きているのではないだろうか。