目次
1 草の匂い(クラッシュド・アイス陽気;別世界;雨宿;薄明とケープ;三月の扉;ロケット・サイロ)
2 潜っていく(虚の三時間;アンプ;ヒヤシンスの夜;葦林;東北本線;瀬音と君の町;長野幻視;デトリクス見聞)
3 二十五時(三河島;機能;K駅の幽霊;二〇一号室とラストダンス)
4 よろずの虫ついてこい(極楽寺、カスタネアの芳香来る;ヴィオラ;深秋)
著者等紹介
暁方ミセイ[アケガタミセイ]
1988年生まれ。2010年第48回現代詩手帖賞受賞。2011年第一詩集『ウイルスちゃん』刊行。2012年同詩集にて第17回中原中也賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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2
たとえば夜は/アパートの駐車場、/白すぎるビルの踊り場に、/青く苦い液が渦を巻いている。/腕で覆っても/星のような毒が、緑や藍やつめたく濃い色をしてどろどろとして、/その液は肺に流し込まれる。/夜はゆっくり回転をはじめる。 (「ヒヤシンスの夜」) 個体が世界のなかで流動的に循環するようなイメージが印象的だった。2017/11/25
Э0!P!
1
みんなを閉じ込めて、風景が液のなかをいくようにするのが 秋だ / 思い出す物は みんな 美しい緑色をしている。/ 放電のように、欲求が疾駆する。2023/08/26
くにお
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豊潤だが抑制の聞いた色彩のイメージが心の深いところに落ち着く。からだに染み込んでいく感じ。「真夜中は臓器に内に/いっぱい満ちた」(アンプ)の二行が頭から離れない。2018/06/03
カイオン
0
現代詩、詩集をちゃんと買って読んだのはこれがはじめてかもしれない。美しい水彩画を見るような不思議な静謐さにあふれてて、今後も何度も読み返したい本。2015/12/20
u
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幻想的世界にほのかに灯される数々のイメージが魅力だった前作に比べ、詩人の思想というか、実感が濃く塗り込まれた詩集というふうに読んだ。それでも色彩感覚に訴えかけるイメージの鮮烈さは健在で、特に青の呼び覚まし方がうまい。ただ、表題の「ブルーサンダー」はむしろ前作にふさわしかったような気もした。暗い夜のなかを静かに走り過ぎていく銀河鉄道のような趣が、前作にはあったので。2015/12/23