目次
1(夜勤;標的;遊撃 ほか)
2(娑婆;小笛記;バイアスチェック ほか)
3(第十八棟;帰郷;四月の死角 ほか)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新田新一
29
私が繰り返し読んでいる詩集です。現代詩の中で屈指の傑作。難解で分かりにくいのですが、分かる分からないを超えて、心の中に深く伝わってくるものがあります。生きる悲しみや苦しみ、人間の命の儚さといった根源的なことが美しく表現されています。「銀河が震える冬だった / 星一つ拾って産業道路に立ち尽くす」で始まる「帰郷」は、苦しみばかりで救いのないこの世で生き抜く覚悟が、鮮やかに表現されています。読むたびに最後の2行の「私は堅い堅いアスファルトに膝を折る / 限られた時間 道自身となるために」が心に突き刺さります。2024/10/05