内容説明
震災後に一度は言葉を失った詩人が、礫の先にある光を目指して、いまこの世界を這い上がろうとする。自らと、そして世界に突きつける言葉の刃。希望はあるのか、絶望しかないのか。詩の言葉の絶対を疑いながら、素手で掴みとった真実の詩。
目次
俺の死後はいつも無人
終わらない遠近
逃亡
深夜に大型バスがもはや頭の中で激しく横転したままだ
百年の鯉
春と棘
震災ノート
廃炉詩篇
誰もいない福島
著者等紹介
和合亮一[ワゴウリョウイチ]
詩人。『地球頭脳詩篇』で第47回晩翠賞、『AFTER』で第4回中原中也賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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メタボン
14
☆☆☆ もう少し奥からの言葉を感じたい。表層の肯定否定や約束めいたリピートではなく、川底の石を転がすように、心の奥底の言葉を動かしたい。ガバリと寒い西東三鬼や中原中也の月夜の浜辺のボタンのオマージュがあった。震災後の詩は少し訴えるものがある。「さあ舟よ 夜明けを背負い 海原に あなただけの 帆をかかげよ 朝はどこか 朝はここだ あなたの胸の奥だ しるしの火だ(馥郁たる火を)」 「誰もいない福島 静かな雨の夜」のリフレインが響く(誰もいない福島)。 2015/01/31
aoi
3
頭に浮かんだものをほとんどそのまま書き出して、でも満たされなくて視覚でも何かを伝えようとする。そんな喫緊さのある詩集に感じました。震災について具体的に綴られた詩は、その雑多さを整理し受け止められるけど、そうでない詩はふわふわしてて不思議な世界に迷い込んだようになっちゃう。和合さんを知らねば深めていけないのかもしれない。2015/03/27