内容説明
既視感から既死感がはぐれる。言葉への、言葉からの転生。詩の再生へ賭ける、死の詩学。いちど死んでみるがいい。そこに一行が立ち上がるから―。
目次
鮃
朝焼け
日時計
アンモナイト
銅鏡
世界の果て
虹の白骨
手袋
空蝉
白木蓮
蛍沢
幻語空間
幻楽
幻視時代
薔薇
眼
流砂
夜の相貌
情死*
情死**
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
瓜坊
15
死がテーマの詩集。死は、つまりそちら側に転がると遡れないということ。一つの物が映す世界は、その物が死んで消えると世界ごと消える。永遠に失われた部分への思い。「死んだ蛍たちは/死んだ子どもの頭蓋の中にとまり/ついに帰れないままの子どもの想念を/灯すのだ」〈蛍沢〉、蕪村の「狐火や〜」の句のよう。表題の〈幻語空間〉にも見えるけど、意外と単純な駄洒落っぽい言葉遊びも多い。グロテスクな風景なのに、ミスマッチというか、一筋縄ではいかない。「死者誤入」とか「足の記憶に繁茂している葦原」とか。2020/09/10
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- 和書
- 西又葵です。 〈3〉