内容説明
すぐれた絵画性と稀有の音楽性により、45カ国語を超える地域の読者を魅了するスウェーデンの生んだ世界的詩人、トーマス・トランストロンメル。詩人は簡明な言葉と鮮やかなメタファーで、美しい絵を描き、俳句への接近もこころみる。代表作『悲しみのゴンドラ』とその後の詩篇を収録した、唯一の邦訳詩集。
目次
四月と沈黙
不穏の国
夜の記録から
悲しみのゴンドラ2
太陽のある風景二つ
十一月―かつてのDDR(東独民主主義共和国)にて
一九九〇年七月より
郭公
三連の詩
子供であるかのように〔ほか〕
著者等紹介
トランストロンメル,トーマス[トランストロンメル,トーマス][Transtr¨omer,Tomas]
すぐれた絵画性と稀有の音楽性により、45カ国を超える地域の読者を魅了するスウェーデンの生んだ世界的詩人。ノーベル文学賞受賞
デューク,エイコ[デューク,エイコ][Duke,Eiko]
1964年よりストックホルム在住。ストックホルム大学Fil.Kand.(Bachelor of Arts)教師歴を経て現在、翻訳及び裏千家茶道(国立民族博物館内瑞暉亭)に従事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まさむ♪ね
41
悲しみはいつでもふいにやってくる。慎み深い春の訪れのように親密に。きらきら光る水面を優雅に滑るあのゴンドラには悲しみが積み込まれている。ひとはだれしもそのゴンドラの上で生きているのだと思う。普段、悲しみは光の布で覆い隠されるが、何気ないため息でそれがめくれ上がり、暗く冷たい悲しみが顔をのぞかせるのだ。しかし悲しみは何も奪いはしない、ただただそこに在る。猛る孤独という名の野獣をつきしたがえて。北欧の詩人トーマス・トランストロンメル。彼の詩は静謐で美しい張りつめたピアノの旋律のよう。2011年ノーベル文学賞。2015/05/29
KI
28
悲しみを乗せたゴンドラは僕を乗せてどこまでゆくの?2019/12/21
RED FOX
13
「流れ過ぎるまるで終わりのない郊外電車のように」暗喩がぶっ飛んでるスウェーデン詩人、俳句が大好きとのこと。短い詩、いいなぁ。2021/10/23
みどるん
7
音楽、歴史、神話の教養が要求された上で繰り出されるメタファーなので難しい。気に入ったのは「ゴンドラはいのちを重く積み運ぶ、簡素で黒いそのかたち」というフレーズと、「陽ははや低い/われらが影は巨人のもの/瞬時に落ち来る闇」という俳句詩。2014/05/27
paluko
6
ギャラリーでこの詩人の詩にインスパイアされて描いたという一連の絵を見て興味を持ち、読んでみた。「ゴンドラはいのちを重く積み運ぶ、簡素で黒いそのかたち。」(悲しみのゴンドラⅡ、25頁)「わたしは夢幻のままに泳ぎ出る/きらめきの揺れる暗い水中に。/と、耳をつんざくチューバの大音響。/ある友の声だ、行け、墓を離れよ。」(ふたつの都、48頁)「宇宙の彼方の怒れる火の海が/地球に届いて愛撫に変わる。/秒読みは始まった。」(光の流入、51頁)2011年のノーベル文学賞受賞者。俳句に造詣が深く本書にも「俳句抄」を収録。2025/04/26
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