内容説明
自らのルーツをもとめてパリからブルターニュを巡る旅人がえた“サトリ”とは?つねに酔い悩みながら、興奮と不安を抱えて人から人へ、混濁した生にあっても世界への大きな共感を手放さない。熱狂の底にある震えるまなざし、無作為の即興的文体が映しだす、1966年、ケルアックの裸の真実。
著者等紹介
ケルアック,ジャック[ケルアック,ジャック][Kerouac,Jack]
1922年マサチューセッツ州ロウエルでフランス系カナダ人の移民の家に生まれる。1957年『路上』を発表し、詩集『吠える』のアレン・ギンズバーグとともに一躍ビート文学の代表的存在となる。1969年フロリダ州セントピーターズバーグで死去
中上哲夫[ナカガミテツオ]
1939年大阪に生まれる。本名・佐野哲夫。ビート文学の影響を受けて詩的出発。詩集に、『エルヴィスが死んだ日の夜』(高見順賞)など。俳号・ズボン堂
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感想・レビュー
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tamaph
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あらゆる芸術作品は、その作家がどう生きたかという生き様に収斂される部分がある。この作品は特にそういう素養の高い作品だ。だから結局彼のルーツがどうのという話になりがちで、行動性と内向性(瞑想性)を併せ持つのは彼の出自から出る表現の特徴とかいう読み解きや批評は確かに興味深くはあるけど、「旅はつねにそこからなにかを学び、それによってそのひとの思想を変えるものであることを証明するものなのだ。」という一文が表すように、彼が生きる方法論として、旅することと書くことを選んだということの方が、私のこころを真に軽やかにする2017/11/19