ふたりの真面目な女性

ふたりの真面目な女性

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  • サイズ B6判/ページ数 277p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784783727460
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

邪まな求道者のような熱情をもって自らを忌避すべき状況に追いこんでいく奇異な女性ゲーリング、パナマに住む美少女パシフィカに魅惑され夫と離れ彼女を追い求めるコパーフィールド夫人…。一瞬ごとに想像のつかない展開に、それでいてリアルな、真に恐るべき小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

293
難解な小説である。しかも、それはどこがどのように難解なのかを説明するのに困惑するような種類の難解さだ。タイトルに拘泥するのもどうかとは思うが、「真面目な」(原題も"sirious")と形容された二人の女性―ミス・ゲーリングとコパーフィールド夫人の行動は実に不思議だとしか言いようがない。およそ主体性が感じられないのだ。とりわけ他者との関係性において。そこがまさに文学としての新しさであると言われれば、そうなのだろうかと首肯してしまいかねないほどに自信を持って作品を語れない。なんとも、もどかしい読書体験だった。2016/10/30

ケイ

116
カポーティによる前書きのために、いささか期待値が高かったかもしれない。この真面目=Seriousというあらわし方に、なんとも皮肉めいたものを感じる。二人の真面目というのは、恐ろしく世間知らずで、見ていられないほど警戒心がないという意味ではないか。この二人は、今はなんとか持ちこたえているけれど、この後はそうなるのだろうかと思うとハラハラとして見ていられない気分になる。2016/07/21

まふ

101
「自分を導く星」を自覚した少女クリスティーナが「まわりの友達には想像もつかぬ」「恥という概念のない」世界に入り込み、友を作り一緒に住む。一方、夫と別れて美少女と共に住むコパ―フィールド夫人、この二人は最後に巡り会うものの、その二人の世界は全く別物…。読んでいてヴァージニア・ウルフの「オランドー」を、一方で全く突飛ではあるが鴨長明の「方丈記」を想い出した。どちらも自らの進む道に逆らうことはせず、流れに棹を挿さずに「真面目な」姿勢で流されていくではないか。まことに不思議な読書体験であった。G1000。2023/09/24

NAO

70
聖的なことに強い感心を持ち、自分を極限まで追い詰めるような生活をしながら、毎夜場末の酒場を徘徊して出会った男たちと関係をもつミス・ゲーリング。夫に連れていかれたパナマで娼婦パシフィカと出会い、彼女から離れられなくなるコパーフィールド夫人。夫人は、自分がどれほど罪深いか自覚しているしこの状況に自分は満足しているという。この二人の、どこが「真面目」なのか。自分の心の命じるままに生き、毅然として破滅に向かってつき進んでいる、その自分に正直すぎる言動が「真面目」だというのだろうか。この二人は、合せ鏡のようだ。2020/11/08

ネギっ子gen

51
子どもの頃より皆に嫌われる、ブルジョワ令嬢・ゲーリング、周囲の環境に病的な恐怖を覚え、それをアルコールで紛らわせているコパーフィールド夫人の二人が主人公。解説の四方田犬彦氏は著者を、<およそ考えられるかぎりのスティグマとヴァルネラビリティ(攻撃誘発性)を備えた女性で、生そのものが病んでいる>と。原書は1943年刊。訳書は1994年刊。ゲーリングは、<確実にわたしは聖人に近づいている。/でも、自分にも見えない自分が、コパーフィールド夫人のようにすごい勢いで罪を重ねていく、ということがあるのではないか>と。⇒2024/12/15

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