内容説明
略奪国家アメリカへの反逆精神、銃撃戦、突然変異体との闘いなど、バロウズ世界のエッセンスに満ち満ちた短篇集。’89年作品。待ちに待たれたバロウズの最新作品集。ファンタスティック小説シリーズ第2弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なる
29
あいかわらず下品をコーティングしたスノッブなカットアップ、ところどころに散りばめられた過去作を思わせるガジェット、日常と幻想の間でふらっと起きるバイオレンス、愛すべきバロウズ節は健在ってことで。時系列的にはウエスタン三部作の後にバロウズが書いた短編集なのでとても読みやすい。短編だから割とふんわり読めるし。バロウズ初心者におすすめかも。ってか表紙が大竹伸朗だったらしくて、美術評論家が解説文で表紙と翻訳(清水アリカ)のことばかり書いてバロウズにほとんど触れずに頁を割いているのがウケる。あと誤字脱字が多い。2022/10/23
roughfractus02
8
プロットすらもないイメージ断片が並ぶと、汚物に満ちた終末世界にグロテスクなものが蠢く短い動画が途切れながら続く感覚に陥る。それぞれは抗争と暴力と戦いという自由と法の間を行き来するテーマであり、ムカデと植物の中間体が出てきて寄生虫のように人間を支配するという設定もお馴染みのものだ。が、腐食して悪臭を放つようなものたちのイメージを作る音には、邦訳ながらどこか文法のようなパターンがあるように感じられる。別々の場所にいる人々の呟きが一気にイメージできる断片で、読者は、このパターンが呪文と呼ばれてきたのだと気づく。2020/11/30
げんなり
4
昔、流行ってた頃に『ジャンキー』と『裸のランチ』は読んだ。分かったとは思えなくて、そしてまあきれいさっぱり覚えていないのだけど、先日、ラジオで翻訳者の方の朗読する作品を聞いてなるほど、ちょっと危ない感じはするけど読んで面白い小説なんだ、と再確認したのがバロウズ。それをまた、なぜだか突然思い出して何となくマイブームな清水アリカが訳してるこの本、見かけた以上は買わねば、ええいままよ読んじゃえとあっという間に読み終わる。朗読用の超短編7作品、役者あとがきと解説、どこから読んでも面白い。ちょっと掘り起こしたい。2020/02/06
hiratax
3
清水アリカが翻訳した本文と、椹木野衣の長い長い解説がある。さらっと読めるんで本棚に並べておきたい本。2014/10/04
mejiro
3
「ジョー・ザ・デッドのかわりに話そう」「最後の場所」がおもしろかった。カットアップ、フォールドインという手法を初めて知った。訳者あとがき、解説も刺激的だった。2014/08/02