内容説明
30年代イギリス、40年代アメリカの詩壇に君臨し、作詩法を自在に操ったオーデン。戦後日本の詩人たちに強い影響を及ぼしたその詩群を初期から晩年に至るまで偏りなく採録。
目次
詩篇
評論・エッセイ 読むこと
作品論・詩人録(初期の詩についての覚え書き;還暦を迎えたオーデン)
解説・年譜
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ばん
7
政治的な事柄を予感させる詩が多いのは、この詩人が現代に生きており、類似した社会的諸相や、世界の戦きを感じ取っているからかもしれない。それでも(訳者の感覚かもしれないが)それらの詩は若人の抒情性、語りの柔軟、連想の闊達、語句の強靭さを感じさせる。こうして彼が決して政治詩人ではないからこそ、社会に向き合うわれわれの存在を深く洞察する。ブロツキーの形而上の飛翔に対して、形而下にして突きあがる詩である。2012/10/08
twinsun
6
バーンスタインの交響曲第2番「不安の時代」がきっかけで本詩集を手に取る。曲の追い詰められるような不安同様、本詩集にも自然や恋愛への憧れを歌うような希望に満ちた調べはなく、人の生み出した思想や制度・歴史への懐疑・敵意・絶望・怒りが晦渋に満ちた無造作に様々な引出しから引っ張り出された言葉がたたきつけるようにそして闇を突く巨大な建築やそこ果てしない洞窟のように広がっていく。「中国からのソネット」、「「いずれの竪琴のもとで」、「都市追悼」、「イスキア島」は人間の生理的営みと歴史への侮蔑が小気味よい。2024/10/26
有沢翔治@文芸同人誌配布中
5
W・H・オーデンは30年代に登場、40年代にアメリカに渡り、詩人として名を馳せた。日本では田村隆一など『荒地』派の詩人たちがオーデンから多く学んでいる。 科学や政治的主題を材題に、長短様々な詩を書いた。中には十七シラブルの詩もあり、俳句を思わせる。 https://shoji-arisawa.blog.jp/archives/51525069.html2022/06/25
いのふみ
3
初期における強いアクセントの音を叩き込んでいく書き方で民衆を鼓舞する作風から、後期に民衆に寄り添うような作風へ。2020/10/11
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- 和書
- 指揮のテクニック