内容説明
詩があるがままの姿で批評を孕む―。敗戦後の昏迷から、時代の危機を鋭く表して、同時代の思想と文化を先導した「荒地」の詩人たち。「無名にして共同なる社会」をつくるための「精神の架橋工作」を果敢に実践しつづけた鮎川信夫をはじめ、田村隆一、北村太郎らの詩的言語の画期的意義を論じ、その変容をふまえて未来の再生を予告する。絶えざる現在性の批評として、半世紀にわたって詩論の最も高い稜線を形づくってきた北川透の営為を精選する、待望の集成、刊行開始!
目次
1 戦後詩“他界”論―鮎川信夫の詩と思想を中心に(“他界”の観念の普遍性;戦争・戦後体験から“他界”へ―「兵士の歌」と「僧侶」 ほか)
2 「荒地」論―戦後詩の生成と変容(政治的共同性を騙る者たち;「荒地」の文明批評的な性格をめぐって ほか)
3 「荒地」の詩的世界―鮎川信夫とその周辺(「荒地」の詩的世界;詩の破壊力について―田村隆一試論 ほか)
4 「荒地」の終焉と蘇生(必敗者の自己理解―鮎川信夫の七〇年代;鮎川信夫と「荒地」の意味 ほか)
著者等紹介
北川透[キタガワトオル]
1935年、愛知県碧南市に生まれる。58年、愛知学芸大学卒業。62年、「あんかるわ」を創刊し、90年に終刊するまで、同誌を基盤に精力的な詩と批評の活動を展開する。91年、下関市に移住し、96年から2000年まで、「九」を山本哲也氏と共同編集で刊行。2013年、ひとり雑誌「KYO(峡)」刊行開始。『詩論の現在』(全三巻)で第三回小野十三郎賞、詩集『溶ける、目覚まし時計』で第三十八回高見順賞、『中原中也論集成』で第四十六回藤村記念歴程賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かふ
繻子