数式に物語を代入しながら何も言わなくなったFに、掲げる詩集

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  • サイズ B5判/ページ数 93p/高さ 27cm
  • 商品コード 9784783721987
  • NDC分類 911.56
  • Cコード C0092

内容説明

自我の乖離を乗り越えて苛烈な中心を擁する19の恋歌が悲しい星の上で真っすぐに立ちあがる鳥瞰する「私」を撃ちぬき現代の詩を負うあらたな言語表現の誕生。思潮社50周年記念現代詩新人賞受賞。

目次

a viaduct
アーサー王
夜明けのアーミン
十二月に病んだ片言の君は始めに数度の殺傷を受けていた
僕の致死量のウィスキー
地獄も憐れむほど、方向音痴
その月は僕にとっては残酷な月だったけれど、君にはどうだっただろうか
nova
rivers
kimi ga saisho ni sinda
聖エルモのながく、あかるい遺言
アギーレ
THE DAY I WAS A HORSE
ワンダーランド
窓が開いていた
最後はラブソングを、君に
山手線のシーガイア
暦の仕事
数式に物語を代入しながら、そのようにして解くのではないことは知っていた

著者等紹介

中尾太一[ナカオタイチ]
1978年鳥取生。日本大学芸術学部中退。2006年現代詩新人賞受賞。『数式に物語を代入しながら何も言わなくなったFに、掲げる詩集』は第一詩集(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

oz

17
再読。ゼロ年代詩人の中でも最も高いレベルで活動する著者の第一詩集。「セカイ系」とも評される「私」と「彼女」の極小的交流から主体と他者を回復させうる可能性としての「叙情」詩を提言する。それは60年代の全てを社会的言説に還元しうるという社会構成主義や、80年代の主体は世界から切り取られたネガティブな形でのみ措定されるというポスト構造主義も失効したゼロ年代にあって、主体/詩の不可能性を反復演劇するのではなく「そこから」を問い直す試みでもある。だが何よりこの詩集は目茶苦茶面白い。文句なしの大傑作なので一読を。2010/11/09

スミス市松

16
長い一行の文のさなかに「どうしても伝えたい」というはっきりとした意思をもつ言葉が、揺れる木の葉に遮られながら断続的に浴びる長い日射しの中で瞬間的に知覚する烈しい閃光のように、読み手の心に切実な意味をもってやってきている。いま読んでもなお、発表当時に驚きを与えたであろう「新しさ」や詩を読んだ人間を“その気にさせる”才能のようなものを感じさせる。詩篇ごとに変幻する「君」に向かって必死に、しかし優しく語りかける「絶対抒情主体」があり、彼の吐息と書記の間に示現する抒情詩によって「世界」が構築されていく。2016/12/21

t78h1

2
中尾太一はかぎかっこをよく使う。なぜなら「」を使ってその言葉を捉えたいからだろう。しかしそれは捉えることはできない。できないからこそかぎかっこを付けるのである。2011/02/16

Cell 44

1
なぜ詩が強くなければいけないのか、この問いに誰も答えることは出来ないが、少なくとも僕の場合、「抒情詩」がそうでなければ互いの生存自体を深く傷つけるだけの関係しか築くことができないと感じる自分の、これから負う責務に従い、抒情にこだわる、こだわらなければいけなかった‬。(「あとがきにかえて」)この言葉を最近ときどき思い返す。2020/05/27

マヨネ

0
たらこスパゲティのくだりでいつもなける。パンチラインだらけ。中尾太一詩集で読んだよって人にも薦めたい。形式がちょっと違ってて、こっちの方が好みです。

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