内容説明
著者は短いエッセイを書くのさえ呻吟したと言われるが、その文章は名品と評されていた。出来事が現実を超え、反自然的な相貌を帯びてくる。自伝から作詩法にまつわるもの、西脇らの人物論までを収録。
目次
私の生まれた土地
済州島
軍隊のアルバム
大原の曼珠沙華
阿修羅像
高遠の桜のころ
突堤にて
読書遍歴
リルケ『ロダン』―私の一冊
救済を願う時―「魚藍」のことなど〔ほか〕
著者等紹介
吉岡実[ヨシオカミノル]
1919年東京生まれ。41年満州への応召に際し詩集『液体』上梓、終戦まで軍隊生活を送る。戦後に入り、55年『静物』刊行、58年『僧侶』でH氏賞受賞。59年飯島耕一らと「鰐」創刊。戦後最高の詩人の一人に数え上げられる。書籍の装幀も多く手がけた。90年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
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感想・レビュー
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ころこ
34
パスカル、ニーチェなどのアフォリズムが哲学なのに対して、日本において哲学の不在を埋めている文学から断章がつくられるのはごく自然のことと考えれば、どう読むかという態度を決定できます。結論めいた最初の一文があるかと思えば、ウィットとアイロニーのある結末の一文があります。優れた一文と他の文章との違いも小説よりも分かり辛く、他の文章があるからその意味が映えるのであって、その一文自体に目印はついていない。今、起こっている状況は、象徴性に対する危機です。ウツっぽくどんよりしているひとは、詩を読んではいかがでしょうか。2020/04/18
かふ
21
吉岡実の関わった人の随筆みたいなエッセイで、舞踏の土方巽との関わりが出てきて、直接は知らないのだが、その奥さんである元藤燁子がアスペクト館でやっていた舞踏教室には知人が通っていて懐かしい思い出だった。 あと永田耕衣の鯰の俳句の連作が良かった。西脇順三郎との思い出は師弟関係だからそれほどおもしろいとは思わなかったが、ただ西脇順三郎が泥鰌鍋が好きだというエピソードがなるほどと思った。泥鰌鍋に豆腐を入れて熱くなるとそこに隠れるからちょうどいい案配で煮えるというのは本当なのかな?2024/07/26
toron*
2
吉岡実が好きなので衝動買いしてしまった…詩は読んでいたけれど、吉岡実は散文をほとんど書かなかったらしいので、特に興味深く読めた。…永田耕衣や西脇順三郎のことが書かれていてびっくりした…俳句はあまり読まないけれど、永田耕衣は好きで句集を持っていて、西脇順三郎も詩集を買っていた。そして引用されていた西脇順三郎の詩に「ポポイ」とあり、倉橋由美子の『ポポイ』を思い出した。倉橋由美子も西脇順三郎の詩が好きだと何処かで書いていた…物語は全て繋がっていると強く感じた。北園克衛の詩も気になっていたので、読んでみるつもり。2019/04/09
Doughnut
0
ひさしぶりにほんを読んだ2016/03/13
Farce
0
とても良かった。散文だけれど、その中に吉岡実という詩人がいたように感じる。2021/08/24