内容説明
『彩管譜―コンチェルティーノ』から時を待たずして刊行される本誌集は、前作の抑制されたフォルムから一転して、詩人独自の自在な言葉のリズムを響かせている。言葉は言葉を呼び込んで溢れ出し、生の律動に寄り添う。ますます感度を研ぎ澄まし、成熟へ向かって言葉を湧出させる注目の意欲作。
目次
さざめき、漂流へと秘めやかに熱度は縺れる
ある破線、きわやかな羽と根の機微
初夏、その他の辺地
冬の櫂への果てない輝度
ささやかな地の溺者
せめて隘路のひそかな火
そうして微熱のかぐわしい混沌へ
放散のための蝕と蜜と