内容説明
父・山之口貘を通して、人間の生への洞察を深める、出色の評伝集。
目次
1 (最初の記憶;のびた約束;変てこりん ほか)
2 (知りたいの出発;トミさん;フミ伯母 ほか)
3 (お墓の中の私のパパ;父のこと;随舌 山之口貘―こんな風な ほか)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kawa
25
獏氏の詩集を一冊も読んでいないのに、彼におおいに興味ありで娘さんの著作へ。極貧生活やそこに反発する奥様との確執まで作品にしてしまう氏。奥さんから「年がら年中一から十まで食い違い」と言われてしまうことも良く解るし、自分の身内に彼みたいな人がいたら天才的創作者でもノー・サンキューだろう。彼の辞書には「生活力」という言葉はなかったのかも。だからこそ、後世に残る作品を紡ぎ出したとも言えるのではないかな。後半で紹介される娘さんに対する愛溢れろ詩は素晴らしい。奥様から「親バカ三太郎」と罵倒された一端がうかがわれる。2025/03/28
kochi
17
「山之口獏は本当に人間を愛した詩人だったと、みんなが言います。そうでしょうか。私にはわかりません。」一人娘の泉による詩人山之口獏の思い出をつづるエッセイ。「パパ大好き」がはっきり出ていて、敵役にされるお母さんには、ちょっと可哀想な気もする。獏さんの親馬鹿振りを語りながら、それを愛情の発露と素直に受け止められるところは、幸せな親子関係と言わざるを得ない。「ミミコ」も連れて行かれたという池袋の沖縄料理「おもろ」、一度行ってみたい。2015/08/30
ぞしま
14
タイトル通り、娘から見た父、山之口貘。序盤で、貘さんの最期の日々が語られている。ここは、かなり涙腺が緩む。金子光晴さんを呼ぶシーンがひときわ記憶に残る。貘さんが沢山の人に愛されていたこともうかがえる。今度、貘さんの巣である池袋でもうろついてみようかな、なんて思っている。2016/02/27
こめんぶくぶく
4
本を閉じて、いい本だなぁと素直に感じた。山之口獏の娘、ミミコさんは文筆を生業とはされてないようだが、山口家のその時々の場面場面を実に絶妙な表現で豊かな感性で綴っている。まるで私も練馬の山口家に居候させていただいているかのようにご家族の息遣いや空気がひっそり味わえた。父親を絶対的に礼賛するばかりではないし、また文句の多い母親に対して非難ばかりという訳ではない。少し引いた角度からの一人娘の視線は少し冷めているようだけれど、それでもどうしても伝わってくる不器用な山口家の家族の愛情がほほえましくって、鼻の奥がつん2016/02/16
kg
2
父と娘のものがたりから娘と母のものがたりが浮かび上がる。愛しさも憎らしさもごちゃ混ぜの家族というもの。2019/07/26
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