内容説明
著者が、自ら長い時間をかけてたどった鮎川信夫の生涯。新資料から明らかになる荒地派詩人たちの詩的共有財産。それをよりどころに作品を読み解いていくことで新たな歴史的真実を見通すことができる。「現代詩手帖」に連載の論考に、『鮎川信夫―路上のたましい』以降に発見された資料を加え、さらに精密になった鮎川信夫作品年譜を収録。著者のライフワークとも言うべき渾身の評論集。
目次
鮎川信夫からの贈りもの
遠くから響いてくる声―森川義信の遺品が伝える戦中の姿
共有の文学世界―書簡に記された多くの作品の名
個の世界の創造―それぞれの受容のかたち
戦中の“橋上の人”・初出稿―遺書のつもりで残してきた詩
戦後の“橋上の人”・未定稿と決定稿―戦中と戦後を繋ごうとした詩
「荒地」の蘇生―半世紀を超えて生き続けた原稿
“アメリカ”(未だ見えざる世界への熱い願い;背景に浮かぶ文学体験の広野)
“あなたの死を超えて”―個人的なものを表現しながらパブリックである詩
“海の変化”―シェイクスピアとエリオット
コラムニストの誕生まで