死んでなお生きる詩人

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 228p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784783716013
  • NDC分類 911.52
  • Cコード C0095

内容説明

この本に登場する十三人の詩人は、「読売文学賞」を受賞して天寿をまっとうした詩人を除き、二十代の終りに余命一年という胃癌の宣告を受けた女性詩人をはじめ、病苦に犯されたり、首を吊り手首を切って自殺したりしたひとばかりだ。志なかばで倒れた薄幸な詩人たちの苛酷な生きざま書きざまを辿りながら、著者はあたかも布教師のように、死後なおよみがえる不屈の詩的生命を説いてやまない。異色の詩人論。

目次

永塚幸司―私は船乗りやピアニストであるべきだった
清水正一―錆庖丁一本研イデマンネリズムヲ断ツ
天野忠―みえない座蒲団の上で
瀬沼孝彰―大切なことは寒い時にどう歩くかではないでしょうか
相良平八郎―書けなくても書くんですのたうちまわって書くのです
氷見敦子―ブランド詩を蹴ちらし蹴ちらし
長岡三夫―田舎の親父東京へ来るな
南信雄―桶じゃないんだからタガなんかはずせ
谷沢辿―出不精で口下手で悪筆で下し立ての下し金のように引っかかり
征矢泰子―のんべえだった。わがままだった。やさしかった。
本多利通―詩を書くという行為は死の予行演習である
寺島珠雄―アウトサイダーだろうとミツヤサイダーだろうと
佐藤泰志―揚げは揚げわかめはわかめの味がした

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

リッツ

27
著者である北川朱実さんの詩集を先日読んだのを機に手に取りました。この中に登場する詩人の殆どが華やかな名声とは縁のないまま、自らの命を絶ったり病魔に倒れたりして亡くなられた方々で当然暗い死の影を背景にその詩を背景を知りました。自分のなかのものを他におもねることなく研ぎ澄まし突き詰めて言葉にし生み出す一途な姿勢、尚且つ生活の糧を得るための労働、その厳しい生きざまに何度も息を飲むと同時に懐かしさのようなものを感じました。少し前の時代身近な年上の人たちの面影と重なりました。2021/04/16

スミス市松

12
永塚幸司、瀬沼孝彰、征矢泰子、谷澤辿など、不遇のまま世を去った詩人たちに捧ぐ詩人論。日々の生活の苦闘に由来する彼らの凄絶な詩群を読みながら、いまこうして安易に言葉を紡ごうとする自分をおこがましく感じる。そのせいなのか、著者は現代に生きる詩人として言葉を研ぎ澄まし、胸襟を開き自らの「私」性を曝しながら語ることで誠実さを保っているようだ。息が詰まる。だがそれが詩でなくて何なのだろう。言葉と誠実に向き合うには自らの納得する結構を絶えず築き上げねばならない。それが文学に身をやつすことかと思い、天を仰ぐのであった。2019/02/05

Cell 44

3
言葉に対する姿勢を思い直すことができた。全て、ここに出ている詩人は読まなければならない。2014/11/18

岡部淳太郎

2
好きな本のひとつ。よっぽどディープな現代詩の読者でない限り名前も知らないような「無名詩人」たちのドキュメント。詩人たちに寄せる作者の視線がとてもいい。最後に詩も書いたけど主に小説家として認知されている佐藤泰志(詩人、福間健二の友人だった)のことが書かれているのがちょっとうれしかった。2001/03/30

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/234056
  • ご注意事項

最近チェックした商品