内容説明
振り返って思うと、ここに収めた詩篇には、一貫したある「生きた声」のひびき―ダンテやオデッセイ、そして日本の西行がもっていたものに似た表意への「グレイン(反り/正目)」があることに気づく。彼ら先輩詩人が、愛の「スパラグモス(引き裂き)」、または報復にあい、マドンナの面影を胸に再蘇生と昇化のため、生涯の「無辺」への旅路にさまよわなければならなかったのと同じ大義である。
目次
夏のアルテミス
ホルスの家
国境
黄金の腕
砂漠の青い目
自分の宛名よ、さようなら
シェイクスピアの家
ヴェネツィアのテラス
ナイルの微笑
影の母〔ほか〕