出版社内容情報
七月の空気は透明な裸
恥ずかしいから蓮池に隠れている
大きな葉のしたから蕾を高々と掲げて
みんなに見せている
(「七月」)
「無」へと豊かに広がる言葉
「財部鳥子の詩は傷を負った全ての生きものが、帰還をめざす領土だと思う」(小池昌代)。
満州体験にはじまる長い歳月を生き、人の生死を見据えて、年輪を経るごとにみずみずしくも馥郁たる世界をあらわした詩人の後期作品集成。
解説=那珂太郎、入沢康夫、佐々木幹朗、阿部日奈子、渡辺めぐみ
財部鳥子[タカラベトリコ]
著・文・その他
内容説明
「無」へと豊かに広がる言葉。満洲引揚げ体験にはじまる長い歳月を生き、人の生死を見据えて、年輪を経るごとにみずみずしくも馥郁たる世界をあらわした詩人の後期作品集成。
目次
詩集“烏有の人”から
詩集“モノクロ・クロノス”全篇
詩集“衰耄する女詩人の日々”全篇
詩集“胡桃を割る人”から
詩集“氷菓とカンタータ”から
散文
作品論・詩人論
著者等紹介
財部鳥子[タカラベトリコ]
1933年新潟県生まれ。生後すぐ父の任地中国(満洲)へ。北方の佳木斯市で育った。45年、日本の敗戦により土地と家財を失い、敵となった人々を恐れながら、一年の難民生活で父と妹を亡くし、46年日本に引揚げる。51年新潟市役所に採用された。58年退職して結婚上京する。65年詩集『わたしが子どもだったころ』(30頁の私家版)を発行、その中の一篇「いつも見る死」が円卓賞になり、遅い詩の出発をはたした。以後、『西游記』(地球賞)、『中庭幻灯片』(現代詩花椿賞)、『烏有の人』(萩原朔太郎賞)、『モノクロ・クロノス』(詩歌文学館賞)、『氷菓とカンタータ』(高見順賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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