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U(ウー)

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  • サイズ B6判/ページ数 424p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163907598
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

オスマン帝国の捕虜となり、不老の体を手に入れた三人の美少年。三百年後、ドイツ軍Uボートの乗組員となった彼らを待ち受ける運命。

内容説明

1915年、ドイツ。第一次世界大戦―。イギリスを中心とする連合国に追い詰められたドイツ帝国海軍は、Uボートに捕虜救出作戦を命じた。敵の機雷網や爆雷を潜り抜け、決死の作戦を完遂できるか。英仏海峡を越える任務に命を懸けた兵士たちの矜持。1613年、オスマン帝国。中世ヨーロッパ―。最後の輝きを見せるオスマン帝国で、豪華絢爛な宮廷生活をおくる王に、捕らわれた少年。母国語を奪われ、イスラム教徒へと強制改宗させられながらも、遠き故郷への帰還をあきらめない少年兵の運命。滅びゆくオスマン帝国と、黄昏のドイツ帝国Uボート。“数奇な運命”に翻弄される若者たちの物語。

著者等紹介

皆川博子[ミナガワヒロコ]
1930年京城生まれ。東京女子大学中退。73年「アルカディアの夏」で第20回小説現代新人賞を受賞。85年『壁―旅芝居殺人事件』で第38回日本推理作家協会賞、86年『恋紅』で第95回直木賞、90年『薔薇忌』で第3回柴田錬三郎賞、98年『死の泉』で第32回吉川英治文学賞、2012年『開かせていただき光栄です』で第12回本格ミステリ大賞、同年に第16回日本ミステリー文学大賞を受賞した。15年には文化功労者に選出された。ミステリーから幻想小説、時代小説など幅広いジャンルにわたり活躍を続ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

193
皆川博子は、新作中心に読んでいる作家です。87歳の著者が、これだけスケールが大きくボリュームのある作品を産み出すことが驚きです。U-ボート救出作戦とオスマン帝国の衰退を見事にクロスオーバーさせています。まだまだ新たな作品が期待出来そうです。2017/12/30

藤月はな(灯れ松明の火)

117
最後まで読むと「帯を書いた人はこの作品を本当は読んでいないのではないのか?」という疑問にふと、駆られてしまう。年少だったミハイとレミリアが命を紡いだ中、命と時の海に浸かり、不老不死者に近しいモノになった二人が悔いと屈辱に塗れ、混濁していく過去に縋り、何度も死にはぐった事、ドイツの事を伝える終章を想うと苦しくて仕方ない。私が特に心動いたのはヤーノシュによる語りだ。野心や範疇外の他者への関心はなく、鬱屈した自我を弄ぶだけ。しかし、その怠惰によって起きてしまった事に後に呆然とする姿に今の自分を重ねざるを得ない。2018/03/18

まこみん

91
第一次世界対戦時、ドイツの潜水艇Uボートが敵国イギリスに乗組員と共に捕獲された。物語は17世紀初めのオスマン帝国に遡り、強制徴募で周辺国から集められた3少年の数奇な運命を辿っていく。初めはシュテファン目線で綴られていた話が、次第にヤーノシュの語りと思いが語られていく。皇帝の一存で処遇が分かれ、ヤーノシュは厚待遇にも関わらず、肉体的屈辱に苛まれ続け、シュテファンを片時も忘れないのに妬んでは自らを責める。シュテファンの方も同じ気持ちだったのでは。後半はポーの一族的に時代を巡り、虚無感と感動が込み上がる読後感。2020/05/07

mii22.

65
帯に書いてある「美しき少年兵」も、恩田陸さんのおっしゃる「ただただ圧倒された」も私には感じることが出来ないほど、主人公の少年の、測り知れない大きな心の空洞に呑み込まれ支配された読書だった。別の意味では、感覚のない巨大な空洞に圧倒されたと言える。1613年オスマン帝国の滅び行く姿、時を経て1915年ドイツ帝国Uボートに続く物語は幾多の栄枯衰退を繰り返し、国や人の生死を重ねていく。数奇な運命に翻弄される彼らの物語は素晴らしかったが、それ以上に心の空洞に支配され寂寥感で心締め付けられる思いだった。2018/01/07

miyu

57
心の中でずっと「すごい!すごい!」と繰り返していた。オスマン帝国、U19、私の今の興味からはほど遠い世界のはずなのに。そもそも共通するようにも見えないこの二つの歴史がどう結びつくの?と半信半疑で本を開いたが、やはりいつもと変わらず皆川先生は少しも迷いを感じさせぬほど優雅で力強かった。このテーマならもっとセンチメンタルに書けるだろう。実際に情に訴えてお涙頂戴的なまがいものを作りあげる作家もいる。だが先生はそんなちっぽけなことはしないのだ。まさにクールの極み。それゆえに逆に彼らの数奇な運命と悲嘆が身にしみた。2018/02/20

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