出版社内容情報
「海底の泥を蹴立てて白色のまた紅色の馬となって 一瞬われわれの目の前を横切ることがあるから油断はならない」(岡井隆)。
言語=動物が跳梁する!
反抒情の極北を指す、ことばの未知の光景へようこそ。
『素晴らしい海岸生物の観察』で圧倒的な驚きを開示した小笠原世界を一望する。
解説=入沢康夫、野村喜和夫、田野倉康一、榎本櫻湖、小林銅蟲
小笠原鳥類[オガサワラチョウルイ]
著・文・その他
目次
詩集『素晴らしい海岸生物の観察』全篇((私は絵を描いていただけだ。/船に遠隔操作の時間差爆弾を仕掛けていたのではない)
犬 ほか)
詩集『テレビ』から(グラフ;白い、漆喰や木材の建物の中で人々が楽器を運んでいること ほか)
未刊詩篇『寒天幻魚―かんてんげんげ』(映画、このキラキラ光る星の夥しい鳥たち;フクロウ―は、時計のようにロボットであった ほか)
散文(自伝;岡井隆の動物の短歌についての感想 ほか)
作品論・詩人論
著者等紹介
小笠原鳥類[オガサワラチョウルイ]
1977年岩手県生。99年、第37回現代詩手帖賞を受賞。2004年、第1詩集『素晴らしい海岸生物の観察』(思潮社)刊行、同詩集で第15回歴程新鋭賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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gu
8
例として適切かわからないけどバロウズの『ソフトマシーン』の「ミンラウドセックス部屋」「~時間」のように意味は分からなくてもつい口の中で転がしたくなる印象的なフレーズがあればそれだけでその小説や詩は楽しい。この詩集で言えば「生き生き健康体操」とか「緑色の不思議怪獣」「塩味の」「淡水も、水分が多い」とか。「健康な」という品詞があまりにも不健康に多用されている。2019/04/29
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7
意味やイメージをつくったり置いてきぼりにしたりする言葉と動物が増殖していって、もちろんそれらに脊椎なんてありはしない。2018/06/28
gu
6
読めたかと言えばまったく読めていないのだが『動物論集積 鳥』にはむしょうに感動した。2019/03/25
gu
5
”花は、キノコだ” ”淡水も、水分が多い。水分の多い不思議な怪獣が湖で、暗いアシカだったかもしれない、” ”夏の動物園がプールなのでテニスの人たちがスポーツするだろう。アザラシとか、カモメとか、涼しい線の動物を黒板にスラスラ書いているように見える練習したんだろうなあ楽器を” ”「生きていてくれたんだ」/と叫ぶ様に思う。今日はいい日だ。飛行機と魚が仲良く空にうねるのがまるで蛇の様だ。思えばかつてこのようでない日があって、その日には沢山の鳥が消えた。”2022/01/06
Mark.jr
4
個々の個体はそれぞれ独立しながらも皆揃って同じ動きをする魚群や蟻の行列を思わせる、言葉の群れというか詩集です。故に難解。2022/12/25
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