出版社内容情報
不可視の詩の領域へ
ススキが銀色になびく季節
わたしはちちやははから生まれたのでした
けれども ちちやはははわたしから生まれたのでした
やはりススキが銀色にひかる季節でした
高い山のすそ野でした
(「ナナカマドの歌」)
「田中郁子の詩は語り難い。たたずまいは地味なのに、底のほうに渋く華やかな弾力がある。岡山の自然がこの人の言葉を礎となって支えているが、そこから流れ湧いてくるのは霧のような哀しみである」(小池昌代)。父祖から継いだ山間の地から、生と死が白く輝く場所へ架橋する。代表詩集『紫紺のまつり』『ナナカマドの歌』『雪物語』全篇収録。戦後の苦難から辿りついた人間と自然の涯にある聖性。解説=粕谷栄市、新井豊美、岡島弘子、水島英己、新延拳
田中 郁子[タナカイクコ]
著・文・その他
内容説明
父祖から継いだ山間の地から、生と死が白く輝く場所へ架橋する。代表詩集『紫紺のまつり』『ナナカマドの歌』『雪物語』全篇収録。戦後の苦難から辿りついた人間と自然の涯にある聖性。
目次
詩集“桑の実の記憶”から
詩集“千屋の夏”から
詩集“晩秋の食卓”全篇
詩集“紫紺のまつり”全篇
詩集“窓とホオズキと”から
詩集“ナナカマドの歌”全篇
詩集“雪物語”全篇
エッセイ
作品論・詩人論
著者等紹介
田中郁子[タナカイクコ]
1937年、岡山県新見市千屋に生まれる。高校時代は文芸部に所属し詩を書く。結婚・出産・育児を経て、田畑を守りながら再び詩を書き始め、91年に岡山文学選奨(詩部門)入選、「詩学」新人推薦を受ける。詩集に『ナナカマドの歌』(07年、小野十三郎賞・中四国詩人賞)がある。同人誌「裸足」を経て「すてむ」(58号・終刊)に所属。現在個人誌「緑」を刊行(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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