内容説明
第1詩集『いまにもうるおっていく陣地』で2000年中原中也賞受賞。以来この時代の詩を模索し続けてきた新世代の旗手の、今日までの全詩を収める。
目次
詩集「いまにもうるおっていく陣地」全篇
詩集「食うものは食われる夜」全篇
詩集「隠す葉」全篇
未刊詩篇
散文
作品論・詩人論
著者等紹介
蜂飼耳[ハチカイミミ]
1974年神奈川県生まれ。早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。1999年第一詩集『いまにもうるおっていく陣地』(紫陽社、2000年・第5回中原中也賞)。05年『食うものは食われる夜』(思潮社、06年・第56回芸術選奨新人賞)。絵本に『うきわねこ』(絵/牧野千穂、11年・ブロンズ新社、12年・第59回産経児童出版文化賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
テル35
42
「なにを」と「いかに」の相克が詩を貫く。 シンプルで直截的な力学から目をそらさないことが、詩の永続性だと言い当てている。2025/01/25
メタボン
32
☆☆☆☆ 解説にあったが、リズムを取るための繰り返しに見える言い直し、おおむね先の言い回しを少し長くするかたちで出てくるものは、何か言い足りていないということを表す、というのが納得。好きな詩は「染色体」「らじお・たいそう」「この蟹や」「蝸牛」「姉と妹」「角」。2022/02/14
SIGERU
23
レビューで、理屈の立った文章ばかりを書いていると、エモーショナルな言葉に触れたくなり、短詩型の文学を無性に読みたくなる時がある。蜂飼耳(はちかいみみ)。特異なペンネームの、女性詩人を読んでみた。第一詩集『いまにもうるおっていく陣地』。このタイトルが、まず眼をひく。言葉の置き方がおもしろく、期待が高まる。そうなると、「この人の言葉の源泉は何だろう?」が気になってくる。略歴によれば、上代文学専攻、『方丈記』の翻訳もある。詩を読んでみると、成程、上代語と最尖端の現代語とのハイブリッドが、特徴として浮かび上がる。2021/09/29
しゅん
7
長谷川白紙氏がオススメしてて読んだ。一行一行滑らかなようで刺さるものがある。怨念めいた?2020/09/13
T. Tokunaga
6
国文科の人らしい詩集である。現代日本語を「リアル」、上代日本語を「ルーツ」とする意識が根強くある(これとは逆の捉え方をするのが、英文科の学生がベオウルフやチョーサーを読んだときである)。平仮名の使い方も独特で、いわゆる政治的な左右とは異なる、いわゆる「ロマン主義」的復古感がある。ただ、こういうの読むと、頭痛くなるんだよなぁ。2023/12/21