内容説明
著者の言葉は裏漉しされたもののようにしなやかに光り、手ごわいものも呪文とともによく煮込まれている。日常という混沌から、美味しい詩、怖い詩を鮮やかにすくいとってくる。既刊詩集の全て、数多くの未刊詩篇を収録。主要詩論、クリティック、エッセイなどを収録。多彩な書き下し作品論、詩人論を併録。
目次
詩集『おばあさん』全篇(昔話;春一番 ほか)
詩集『だいどころ』から(この世;朝 ほか)
詩集『家は』から(家を建てよう;来た人 ほか)
詩集『風ぼうぼうぼう』から(ばんばが来るよ;丘の上の木 ほか)
未刊詩篇『お絵かき』(未来;夢 ほか)
散文(あの夏のこと;詩を書こう詩を読もう楽しもう ほか)
著者等紹介
山崎るり子[ヤマザキルリコ]
1949年7月、長野県千曲市に生まれる。横浜美術短期大学卒。結婚後愛知県在住。子育てが一息ついた1994年ごろから詩を書きはじめる。女性誌に投稿を続け、詩を作る楽しさを知る。1999年に第一詩集『おばあさん』(第2回駿河梅花文学賞)を出版。同年手作りの二人誌「花野」を創刊する。以後、『だいどころ』(2000年、第18回現代詩花椿賞)、『風ぼうぼうぼう』(2005年、第45回晩翠賞)などを刊行(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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弟子迷人
43
種村季弘の評にも引用された『おばあさん』から「豆」の全文を。→ おばあさんは きのう/明るい縁側で 豆を選った/虫食い豆を 一つ一つ/曲がった指で 摘まみ出した//おばあさんは ゆうべ/豆を水に浸した/「もとの自分にもどっていいよ」と言って/布巾を載せた//きょう おばあさんは/豆の入った鍋を 火に掛けて/そっと蓋をする/それから近くの椅子にすわり/背もたれに 寄りかかる//お鍋は ことことことこと/火は とろとろとろとろ/おばあさんも とろとろとろとろ//(重要な部分に続く!)2015/02/19
fishdeleuze
19
とても深い何かが心にすとんと落ちた。日常的な風景、例えばそれは台所だったり、家だったり、それほど遠くない景色であったりするのだが、そこには光と風があふれ、世界の境界線を見つめ、手に取り、そこへ置く。小さな命からおおきなものまで優しい言葉で宇宙を描き、読んでいるあいだじゅう言葉に包まれながら、風と光を感じていた。幸福な読後感。2014/12/20
なみ
6
「豆」が好き。「もとの自分にもどっていいよ」2021/04/05
伊里子
1
ぼくがゆびをぱちんとならして〜に載っていた『雨』から興味を経て、この方の詩集を借りてみた。 2000年代の出版だというのに驚いた。 どこにでもあるものの中に、恐ろしいもの、物悲しいもの、切ないけれど愛おしいものが隠れている詩だなぁと感じた。 『平均寿命』『おばあちゃん』『あるところに』が今回読んだ時のお気に入り。2021/02/09