現代詩文庫<br> 鈴木志郎康詩集

現代詩文庫
鈴木志郎康詩集

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  • サイズ B6判/ページ数 156p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784783707219
  • NDC分類 911.56

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

misui

11
自己を言葉にする/言葉を自己にするという、互いに犯し犯される言葉との関係。これは追求すればするほど私的言語に接近するもので、鈴木志郎康の場合、言葉との間にそうした私的な関係を築くと同時に外部への、読者への伝達を固く信じている。ということは自慰行為を他者の視線に晒すというようなある種の芸術に正しく連なるわけで、併録の詩人論で奥様がどんなに詩人が「いやらしい」か愛情たっぷりにこき下ろすのもわかる気がする。「彼の最もいやらしいところは自分の姿を知らないのに自分自身の位置を正確に知っていることだ。」2014/06/13

 

1
再読。まさに68年の詩人の魅力が詰まってる。代表作とでも言うべき「プアプア」連作ではあるが、「処女プアプア」がシニフィエを欠いたシニフィアンとして転移の横滑りを繰り返してゆく。「処女キキ」「プキアプキア」と位相を変えながら、最終的には意味を完全に剥奪された言葉にもならない言葉(「ぴちぴちぴゃあぴゃあぴうな」)で締めくくられる。白秋や朔太郎から始まるエログロナンセンス或いは犯罪のテーマに連なりながらも、何処かユーモラスさえも感じるのは、「私」性すらも言語として絶えず客体化してゆく操作ゆえだろう。2021/09/10

わたなべ

1
言葉の組み立て方がしっかりしていて好みだった。文体がいい。2015/05/07

Cell 44

1
「プアプアは死んだ/強い光線の満ちた空間に髪の毛だけが長く続いているその末端は白い岩を食べている/プアプアは自らの唇にくちづけしたままの姿で手はまだ成長し続ける髪を握んでいる/あなたここへ来てごらんなさい/このごみの捨て方はなあに/ぴなたぴこへぴてぴらんなさい/ぴのぴみのぴてぴたはぴあに/ひなたひこへひてひらんなさい/ひのひみのひてひたはひあに」(「美しいポーズとして最後に私小説的プアプアは死聳え立つ」)「浴室にて、鰐が」を読んで、なるほどと思った。いずれ、また。2015/03/04

なかたつ

1
初期詩集は「った」という完了形の連続と助詞の反乱が目立つ。特に前者は、作中世界という全体と一行一行という部分の関係をまるで創世記のように成り立たせる。一行と一行の間が断絶している。プアプア詩は初めてまともに読んだが、目につくのが註の存在。どうして、語り手の「私」から離れて、作者の「私」の情報を入れなければならなかったのか。作中世界は限りなく虚構だろう。だが、そうした虚構は作者のいる現実から事を発している。そんな警告を註がしているように思わされる。2013/09/06

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