内容説明
誰もが幼いころ耳を傾けたことのある昔話。そのいくつかを題材にして綴られた詩篇は、現世とのずれ=異界性を感じさせると同時に、現代に生きる我々の心情に奇妙に折り重なってくる。物語の中だけに住む“鬼”や、主役として登場する動物たちもまた、太古から連綿とつづく、人間という一個の種の意識にとりこまれていく。時空間のねじれ、意識の境界に切りこむ新鮮な視点が、昔話を通して生命の根源をかいま見せてくれる。
目次
もも太郎
かぐや姫
山姥
浦島太郎の独り言
羽衣
雪女
天女の花
枯木に花を咲かせましょう
舌切雀お宿はどこだ
たぬきの言葉
鬼の屈託
鬼の腕〔ほか〕