内容説明
壮絶なる精神の遍歴と現代。生涯を伝統医学の反逆に賭け、ルネサンスを激しく生きたパラケルスス。鋭い直観的洞察力が捉えた問題は現代の人間観に重い問いを投げかける。奇矯にして真摯なその軌跡にみる精神医学の源流。
目次
第1部 パラケルススの肖像(生い立ち―アインジーデルン;少年の頃―フィラッハにて;学生時代―ウィーンとフェラーラ;大いなる遍歴―ヨーロッパの辺境まで;夜と霧―ザルツブルクにて;またもや旅へ―インゴールシュタットの奇蹟;エラスムスとの出会い―シュトラスブルクからバーゼルへ;栄光と悲惨―バーゼル大学教授;オポリーヌスの手紙―秘書の見たパラケルスス;フッガー財閥への挑戦―コルマールからニュルンベルクへ;知識の空しさ―ザンクト・ガレンからアッペンツェル地方へ;ペストと鉱夫病―南チロルの峡谷にて;最後の成功―ボヘミアからウィーンへ;招かれざる帰郷―ケルンテン地方で;「葬られしものには永遠の休息を」―ザルツブルクに死す;忘却と再生―ファウスト博士の原像?)
第2部 パラケルススの思想(その著作から;パラケルススの人間観;ヒッポクラテスとパラケルスス―知と力;パラケルススと現代)