内容説明
現代思想としての人間学試論。高名な動物学者ポルトマンの自伝的精神史。生物の形態研究を基礎に人間の発育問題を探究し、学問領域を超えた思想家へ遍歴する彼の内的世界を、最近50年の生物学上の事実や理論との係わりを通して語る。
目次
科学の国への旅立ち
生物学のあらしの発展
現代の生命研究
未知の世界への展望
人間学の問題に進む
人間の特殊な位置
海は新たな地平を開く
形態の国への旅立ち
芸術の国への驀進
若年者の成長促進
総合的な見かたの試み
生命の段階
形態学的研究の限界を超えて
科学への要請
著者等紹介
八杉龍一[ヤスギリュウイチ]
1911年、(昭和44年)東京に生まれる。1935年東京大学理学部動物学科を卒業。科学史を専攻。東京工業大学教授を経て、早稲田大学教授、1982年定年退職。文学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roughfractus02
8
カントに始まる哲学的人間学は人間を自然と社会の間に置いた。一方人間をヒト科の生物として扱う自然的人間学は、考古学と進化論を用いる。が、この科学的アプローチは生きた人間より人骨を対象とし、進化論的には系統発生的な長期スパンに沿って人間を他の動物と区別するが、一生のような短期スパンについては語らない。一方著者は、ヒトを動物より遺伝的決定論から自由とし(「生理的早産」説)、個体発生的短期スパンの中で、生きるための「意味」を探索する生物とした。この立場は生物学的人間学と呼ばれ、後の認知科学や大脳生理学に道を開く。2021/08/22
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