内容説明
昆虫の数はなぜ増えたり減ったりするのか。この問題に取り組む著者は、トウヒ林に大発生したハマキガを対象に、15年間にわたる発生量の推移と森林の歴史を追い求め、その画期的な成果を提出する。森と昆虫をめぐる、壮大なドラマ。
目次
1章 トウヒツヅリハマキとの出会い(わが昆虫観察と人との出会い;観察すべき目標は何か)
2章 森へ入る(トウヒツヅリハマキの観察地点を求めて;越冬態を求めて;成虫の羽化時期をさぐる―その失敗談;森のなかで成虫と卵を探す)
3章 トウヒツヅリハマキの好む食樹は何か―寄主選択性について(成虫の生活;幼虫の生活;食授の《好み》についての考察)
4章 梢をめぐるトウヒツヅリハマキの動態(梢の昆虫世界;漸進発生の原因を推理する)
5章 トウヒの森の変わりゆく歴史(肌色の異様なトウヒ?;天然林と二次林の樹種;樹木の大きさを比べる;森の違いとシカによる被剥ぎとの関係;トウヒ林の遷移と遷移におよぼすシカの影響)