感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
167
目に映る世界のすべてが星に包まれている。森の中、更に奥の夜の空から舞い降りてくる星。フクロウの羽ばたきに音もなく、湖に降り積もる星屑。ここにあるものを探して、ここにしかないものを。頁を捲るたび、心が静まっていく。ボートのオールに光が集まってくる。長い夜の終わり、たったひとつの灯に、遠くかすかに響く自然の鼓動に別れを告げて、しずかなみずうみの朝日に励まされる。霧が晴れ、蝶が舞い、生命が動き出す。非日常への旅を終えて本を閉じ、目を瞑ると、また星屑に満たされる。心のなかにとけていく世界が、またひとつ増えていく。2024/10/12
seacalf
55
どこもかしこも人で溢れた東京で暮らしてると、ひとりきりになりたい衝動を抑えきれなくなる時がある。都会の喧騒を離れて、山奥深くの静寂の世界に浸りたい。そんな望みを気持ちだけでも叶えてくれるのがこの絵本だ。頁を開くたびに静謐な気持ちになる憧憬の土地。星降る夜から、朝もやにつつまれた夜明け、そして迎える朝日。ドラマチックだ。日本も車であちこちで走れば、よく知られていない湖があちらこちらにあるのかもしれない。こういうところに2、3日滞在できたら、心からリフレッシュできるだろうなあ。作者のあとがきもとても素敵だ。2019/08/13
ちえ
54
読友さんのレビューで知った。北海道、然別湖の体験が描かれているという。山の奥のみずうみ、夜から朝を迎えるまで、静かで豊かな時間。<しずかなみずうみにちいさな舟を浮かべ、ぼんやり漂っているのは至福の時です。深く透きとおり、時の移ろいをそのまま映すみずうみは、身がすくむほどのとてつもなく大きななにかを湛え、わたしをつつみます…>裏表紙に書かれた作者の言葉が心に染みてくるよう。2020/05/31
ベーグルグル (感想、本登録のみ)
48
人里離れた場所にある湖。星が輝く夜から夜明けへと変化する様子に、心がスーッと癒される。そこに住む生き物たちの息吹を感じながら・・。2020/12/17
ヒラP@ehon.gohon
43
理屈抜きに心を癒してくれる絵本です。絵本を見ながら、自分の心に静かな湖を思い描いてみると、自然と大気に包まれて、思いきり解放された自分自身を想像することが出来ます。 この絵本は、そんな世界に誘うオールをそっと漕いでくれるような気がしました。 心にさざ波があるとき、心が息苦しくなったとき、眺めていたい絵本です。2021/01/13